もう一度走る<<4>>/Yasuko Marue

ラン君は退院してから我が家での生活が始まりました。

病院の倍くらいの広さのケージにベッドとトイレを入れました。

トイレは段ボール箱を使いました。

段ボール箱の一部を切り取ってバリアフリーにして、その中にトイレシートを敷きました。

でも、使ってくれませんでした。

ベッドに敷いたフリースがトイレになってました。

フリースは洗えばいい。

洗濯の回数が増えるだけです。

今までも保護猫から忍耐ということを教えられました。

初めての通院の日

ケージからキャリーバッグに移動させなくてはなりません。

キャリーバッグの奥の隙間からちゅーるを見せて少しずつ誘導しました。

無理強いはしたくありませんでした。

出来るだけ自分からキャリーバッグに入ってもらえるようにしたかったのです。

ラン君は

体に触れると

シャーッ!

フーッ!

カッ!と言って抵抗しました。

この、カッ!が一番迫力があって怖かった!

今にも咬みつかれそうでした。

30分かかって、やっとキャリーバッグに入ってもらいました。

これから通院の度に繰り返さなければならないのかと思うと少し憂うつになりました。

三度目の通院の時、もしかしたらカラーの後ろから抱きかかえたら簡単かもしれないと思いました。

でも、タイミングが合わないと咬まれるか、猫パンチをもらうことになります。

咬まれたっていい!

そう思ってラン君の背中に手を回し、抱き上げると

なんと

無抵抗でした。

あまりにも呆気なくキャリーバッグに入れることができて気抜けしてしまいました。

それからは通院の準備も数分で済むようになりました。

何度か通院すると

病院

ちゅーる

ルーティーンがわかったようで病院での処置も協力的になってきたと言われました。

10月4日

トイレシートに日本語、韓国語、英語で

ここがトイレです

ラン君専用

と書きました。

でも、ラン君には伝わりませんでした。

翌日はトイレシートにトイレの絵を描きました。

これもダメでした。

そして10月7日

トイレシートの上にヒノキのチップを敷きました。

本能に訴えました。

すると初めてトイレを使ってくれました!

嬉しかった!

ラン君に何度も

“トイレを使ってくれてありがとう!”

“トイレを覚えてくれて偉いね!”と言いました。

本能作戦は大成功でした!

やっぱり猫ちゃんなのでトイレの後は砂かけをしたかったんですね。

それから毎回トイレを使ってくれるようになりました。

毎日記録写真を撮ったので私のスマホはラン君のおしっことうんちの写真でいっぱいになりました。

に続く

著者:Yasuko Marue (from STORYS.JP)

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