もう一度走る<<7>>/Yasuko Marue

傷は少しづつ良くなっていましたが

停滞することもありました。

先生に傷が小さくなってきたら皮膚移植を考えていますと言われました。

できれば手術をしなくて済めばいいけれど

傷は大きく深いので、処置とラン君の治癒力だけでは難しい状態でした。

そんな状況でもラン君は毎日私を笑顔にしてくれました。

健康な子だったら普通にできることを

ラン君が出来た時

嬉しくて、嬉しくて何度も涙を流しました。

11月に入り、ケージをやめてケージの二倍の広さのサークルにしました。

最初、私はサークルを跨いで入っていましたが、ラン君が怖がっているように感じたので一部を開閉できるように変えました。

何日かすると閉めた筈のサークルが開いていることに気づきました。

そこで、サークルの外に少しフードを置きました。

予想通り

綺麗に食べてありました。

ラン君がサークルを出て探検できるようになったと思うと嬉しくなりました。

ある日、サークルを見るとラン君がいません!

私は低い所だけ見ていたので

ラン君が消えた!

そう思いました。

血の気が引きました。

狭い部屋だし、隠れる場所もないのに・・・

ふと、棚に目をやると

“見つかっちゃった”

と、バツが悪そうにしているラン君がいました。

ホッとしました。

そこは高さ70cmぐらいの作り付けの棚でした。

ラン君は部屋の中で居心地のいい場所を見つけたんです。

棚の下に踏み台になるような物が置いてあったので怪我をしているラン君でも楽に上がれたようです。

足の負担を軽くするために安全な階段を用意しました。

滑り止めも付けて少し弾力のある素材でカバーしました。

ラン君は上手に階段を上り下りしてお気に入りの場所で寝るようになりました。

やはり高い所が安心するのでしょうね。

二ヶ所ベッドを用意しましたが棚の上のベッドにいることが多くなりました。

に続く

著者:Yasuko Marue (from STORYS.JP)

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