日本酒ファン熱狂!岡山「雄町米」人気の秘密を地酒BARで調査してきた

岡山県生まれの酒米「雄町米(おまちまい)」をご存知ですか? 幻の酒米と呼ばれ、通称「オマチスト」なる熱狂的なファンもいるという、岡山のお酒造りには欠かせない存在なんです。その希少性やおいしさ、人気の秘密を探るべく、アンテナショップで開催されたイベントに出かけました!

その名も、「備前焼で楽しむ雄町米の地酒BAR」。老舗3蔵のしぼりたて新酒が、瀬戸内のおつまみ付きでたった1000円で楽しめる!という酒好きにはたまらない催し。気になる雄町米のことを解明すべく、早速現場に向かいました。

~1月25日(木)17:30 とっとり・おかやま新橋館にて~

会場は、東京・新橋駅のすぐ近くにある鳥取県と岡山県の合同アンテナショップ。2県の特産品が並ぶ1階を眺めつつ、地酒Bar会場である2階へ。

2階に到着した瞬間、たくさんの人とものすごい熱気にびっくり! 18時前にしてこの盛況ぶりです。ご案内いただくのは、岡山県備前県民局地域づくり推進課長の鈴木さん。早速お話を伺います。

今日は大変な人出ですね!このイベントは例年開催しているんですか?
――今年が2回目です。昨年は予想を超える600人もの来場があったので、会場の広さを倍にしました(笑)

こちらが鈴木さん。こんな顔出しパネルも用意している岡山県、素敵です

600人ですか……!みなさん「雄町米の地酒」を目当てにいらしているかと思いますが、「雄町」ってどんなお米なんですか?
――雄町は、岡山県で95%以上の栽培シェアを誇る酒米(酒造好適米)です。有名な酒米である山田錦や五百万石なども、実は雄町米がルーツなんですよ。150年もの歴史を持ち、日本最古の酒米とも言われています。背丈が高く栽培がとても難しいので「幻」と呼ばれるようになりました。

こちら右手が実際の雄町。本当に長い!

確かに山田錦といえば銘酒の代名詞。その祖先だったんですね。昔から苦労されて育てていたんでしょうか。
――そうなんです。一時期は栽培面積が3~5haまで減ったと言われているんですよ。でも酒蔵の人々が「品質の良い雄町米で酒造りがしたい」といって復活に取り組み、徐々に生産量を伸ばしていきました。特に、今回出店している利守(としもり)酒造さんの先代がとても熱心で、当時は農家さんの所得補償までして雄町米を守ろうと働きかけたそうですよ。

★筆者注:5haというとイメージしづらいですが、東京ドームの建築面積が約4.7ha。
それしか残っていなかったところからの復活はスゴイ!

まさに、岡山の酒蔵と農家の方々が一丸となって雄町の味を守り伝えてきたんですね。素晴らしいです。
――雄町米の栽培面積は、今では岡山県内で500haほどにまで回復していて、雄町をつかった酒造りが全国で行われています。東北にもいくつかあるんですよ。みなさんが雄町という米に価値を感じているのだと思います。

私の出身地にもあったとは……。調べたところによると、雄町を使った日本酒が全国から集まる「雄町サミット」が毎年開かれ、2017年8月には第9回を数えているのだとか。ひとつの酒米に特化したイベントなんてあまり聞かないですよね。

最後にぜひ鈴木さんからのメッセージをお願いします!
――今日も、岡山県にゆかりがある人、そうでない人、雄町米のファンなどさまざまな方がお酒を楽しみにいらっしゃっています。ぜひ、みなさんにも雄町米のファン・「オマチスト」になっていただきたいと思います!笑

なるほど、私のように酒を飲む人側も一緒に雄町の酒造りを応援していきたいですね! 情熱あふれる鈴木さんのお話とともに、ハイどうぞ!とおちょこが手渡されました。雄町米への愛が高まってきたところで、実際にお酒を味わってみます。

■利守酒造「赤磐雄町 荒走り」

さきほどもお話に出た利守酒造さんの「赤磐雄町」。鈴木さんもイチオシする、今の季節だけの一品です。濃厚なのにまろやかな口当たり。利守酒造さんのおかげでみんなが雄町のお酒をいただけるのだと思うと、どんどん飲んで広めていきたいですね(と言いながら、自然と杯が進んでしまいます/笑)。

■宮下酒造「極聖 純米吟醸 高島雄町」

「高島」とは、雄町の発祥の地である高島地区のこと。そこの雄町で作った「極聖(きわみひじり)」をいただきました。赤磐雄町と比べると少し強いというか、キリっとしたうまみを感じるお酒です。

■室町酒造「純米吟醸 佐近」

室町酒造さんの「左近」は、ラベルがとってもお洒落でワインみたい。「これは海外輸出用に造っているお酒なんですよ。日本ではとっとり・おかやま新橋館でしか買えないんです!」とのこと。超レアなお酒と出会ってしまいました。

どのお酒にも個性があり、同じ雄町のお酒なのに違いがあって面白いものです。
「東北のお酒は淡麗辛口、すっきりした味が多いでしょ。でも雄町を使った岡山のお酒はうまみが強いのが特徴で、辛口だけど辛すぎないのが良いところ。そのへんも味わってみてくださいね。」と酒造会社の方にもいろいろ教えていただきました。

■新酒を引き立てる、岡山の逸品

ちなみにこのイベント、おいしい雄町の新酒をさらに楽しむための仕掛けがたくさん。
たとえば先ほどから私が持っているおちょこ、気になりませんか?

これは岡山県備前市の誇る「備前焼」。自然な風合いや手触りで、なんとも味がありますよね。備前焼は通気性がよいので、お酒の酵母菌の働きが活発になって熟成が進むのだとか。だからお酒がよりおいしく感じられるのです。

そして岡山の美味も新酒を引き立たせてくれます。

ぷりっぷりの日生(ひなせ)の牡蠣。

湯葉の刺身としゅうまいは、優しい食感と甘さ。

目の前で解体してくれた鰆のお刺身!

岡山県産素材のジューシーなソーセージ、などなど…

雄町米の新酒を心ゆくまで味わいながら、岡山の素敵なところを満喫することができました。今まで深く知らなかったのがもったいないくらいです。日本酒の産地といえば東北、だけじゃない! 西のお酒文化の奥深さを感じられた1日でした。

おっと、今日の使命を忘れるところでした。このWEBサイト「チイキイロ」そして私は、日本の地域と、そこで活躍する人や素敵なものを応援したい……そんな気持ちを伝えるためにお邪魔しているのです。

というわけで、へろへろの手書きで恐縮ですが、鈴木さん宛てに応援メッセージを1枚……。

「岡山の 美味をはぐくむ 雄町"愛"」

……わたくしも今後はオマチストの一員として、雄町と岡山への愛をアピールしていきたいと思います!

~おまけ~

こんなことを申し上げるとまた怒られそうですが、この日の帰り、私は1本もお酒を買わずに会場をあとにしていました。

なぜかって?

超ご機嫌のもーさん(自撮り)

取材後にも飲み続け、計7杯(約2合半)のお酒で大満足してしまったからでした。
反省の意もこめて、とっとり・おかやま新橋館そして岡山県に、また伺います!!!

▼紹介した三つの酒蔵のお酒が買える通販サイト▼ 
◇酒一筋 利守酒造
http://www.sakehitosuji.co.jp/ec/ 
◇宮下酒造
http://www.47club.jp/32M-000012 
◇室町酒造 
http://shop.sakuramuromachi.co.jp/ 

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