高校生平和大使 ハワイ派遣 今月 「被爆者の体験伝える」

 市民団体「高校生平和大使派遣委員会」は8日、県立長崎東高3年の安野伊万里さん(18)と活水高3年の野瀬舞伽さん(18)を今月、米ハワイに派遣すると発表した。現地での交流などを通じて、長崎原爆や若者の平和活動について発信する。

 高校生平和大使の活動でハワイ訪問は初めて。旧日本軍の真珠湾攻撃を受けた地で、「核なき世界」を訴えたオバマ前米大統領の出身地でもあり、委員会が2人の要望に応える形で派遣先を決めた。19~25日の日程で訪れる。

 安野さんは2016年5月、被爆地広島でオバマ氏の演説を傍聴。同8月、第19代高校生平和大使としてスイス・ジュネーブの国連欧州本部に核兵器廃絶を求める署名を届けた。野瀬さんは昨年4月「韓国派遣高校生平和大使」として、同国での署名活動などに取り組んだ。

 ハワイ派遣は、2人が昨年末から訪問先や日程を調整。現地では真珠湾のアリゾナ記念館を見学。ホノルルでオバマ氏の妹が教師として勤める高校や、オバマ氏の出身高校で生徒と交流や意見交換などを予定。田上富久長崎市長の親書をハワイ州知事に届ける。

 会見で安野さんは「米国では原爆投下の正当性を支持する人が多い。原爆と真珠湾攻撃の(被害を巡る)対立関係を、私たちの若い世代からなくしたい」。野瀬さんは「被爆者が体験した恐怖を伝えたい」と語った。同委員会共同代表の平野伸人さんは「日米の高校生の間で『原爆観』の違いを克服してほしい」と期待を述べた。

高校生平和大使派遣委員会がハワイに派遣する安野さん(左)と野瀬さん=長崎市役所

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