防災啓発の機能充実 座間市消防、13日新庁舎開庁

 米陸軍キャンプ座間の返還地に移設する座間市消防本部の新庁舎(同市相武台1丁目)が13日に開庁する。出動準備、出動後の消毒を行う部屋を設けるなど機能を充実させた。また、防災意識の普及啓発を目的に展示スペースや講習室など市民向けの機能も整えた。敷地内には大小の訓練用建物も設置し、一部を市民が使えるようにする。

 消防庁舎は2016年2月に返還された5・4ヘクタールのうち0・47ヘクタールを活用した。総工費は約18億円。国からの特定防衛施設周辺整備調整交付金などを活用した。

 新庁舎は鉄筋コンクリ−ト一部鉄骨造りの4階建て。延べ床面積は約4300平方メートル。1階には感染防止用にオゾン水の発生装置などを備えた部屋や、出動準備室を設けた。3階から4階にかけて同本部と消防署の各課が入る。旧庁舎を上回る約40の仮眠室を備えたほか、シャワー室などを備えた女性隊員向けの部屋も新設した。

 特徴は防災意識の普及・啓発を目的に市民向けの展示スペースや講習室を設けた点。2階には座間市を5千分の1の大きさで表したジオラマを展示。映像で急傾斜地やハザードマップを映し出す仕掛けだ。4階には自動体外式除細動器(AED)の操作方法などを題材とした講習用の部屋を準備した。

 大小の訓練棟はそれぞれ6階建てと3階建て。引き上げ救助や降下、ロープを手繰り別棟へ移動する訓練などに対応する。低層訓練棟には重さ約10トンの模擬家屋を格納。可動式で火災を想定した訓練に活用する。

 高層棟は4〜6階が市民向けの訓練スペースで、避難用はしごでの移動、建物の上階から滑り降りるための救助袋で4階から1階まで脱出する訓練を体験できる。また、屋内消火栓を使った放水もできるほか、低層棟には迷路を用意。煙をたく演出を加え、暗闇の中での避難を体感する。

 8日には、報道関係者向けの内覧会が行われた。市消防本部消防総務課の宮野敬課長補佐は「災害に強いまちづくりにつなげたい」と話している。市民の訓練体験や施設利用の受け付けは4月以降を予定している。

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