新日鉄住金とテルニウム、伯ウジミナスの議長とCEO、輪番指名で合意 対立収束へ和解

 新日鉄住金は9日、ブラジルの高炉メーカー、ウジミナスをめぐり合弁相手のテルニウムと経営トップを輪番で指名するなど新ガバナンスルールを導入することで合意したと発表した。合意は法的拘束力があるもので、締結した8日付で即日発効した。両社はウジミナスの経営体制をめぐり複数の訴訟を起こしていたが、これらも一括で和解する。

 新ルールでは経営審議会議長(取締役会長に相当)とCEOを今春に開く株主総会から4年おきに新日鉄住金とテルニウムが交互に指名するよう定めた。当初はテルニウムがCEO、新日鉄住金が議長の指名権を持つ。

 テルニウムは現CEOのセルジオ・レイテ・デ・アンドラーデ氏を引き続き指名する予定。新日鉄住金は欧州家電大手のエレクトロラックスで南米部門トップを務めた「プロ経営者」のルイ・ロベルト・ヒルシェハイマー氏を経営審議会議長に迎える。

 経営の執行部門では、CEOと副社長を計6人とし、新日鉄住金とテルニウムが3人ずつ指名する。現在、新日鉄住金が指名している副社長は経営企画担当の森高弘氏のみだったが、半々を選出できるよう増員することで平等性を確保する。

 テルニウム側が求めていた合弁の解消ルールを導入することも決めた。今春から5年後以降、両社のいずれかが撤退する場合は「他方が保有するウジミナス普通株を買い取ることで共同経営を終了できる」と定義した。合弁事業には解消時のルールが定められているケースは少なくなく、新日鉄住金側も受け入れた格好だ。

 新日鉄住金とテルニウムは2012年にウジミナスの大株主としてブラジル特有の仕組みである株主間協定を結び、共同経営を開始した。ただCEOの指名権などに明確な規定がなく、テルニウムから派遣された役員のコンプライアンス問題もあって信頼関係が崩れ、近年は訴訟合戦に陥っていた。今回の合意でこれら訴訟も収束させる。

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