「防災空地」で延焼防げ 木造住宅密集地に初整備

 住宅密集地で災害時の火災延焼を防ぐ空間の役割を果たす「防災空地」が、川崎市内で初めて川崎区小田に完成した。市が土地所有者から無償で借り受けて整備した。

 市は、小田周辺地区(約90ヘクタール)と幸区幸町周辺地区(約40ヘクタール)を木造住宅密集地の改善に取り組む重点地区に指定し、建物の不燃化など改善を図っている。

 防災空地も重点地区の取り組みの一つ。当面利用予定がない民有地を市が無償で借り受け、災害時は火災延焼の抑制に、平常時は広場や公園として活用する。土地所有者は市に無償で貸すと、固定資産税と都市計画税が非課税となる。

 小田の防災空地は、老朽化した木造アパートが立っていた土地114平方メートル。所有者は将来的に隣接の所有地と合わせた土地活用も検討しつつ、当面は利用予定がなくアパートも10年以上使われていなかったという。

 市が所有者に防災空地としての活用を提案し、建物とブロック塀などを除去した後、災害時に炊き出しに使える「かまどベンチ」などを設置した。所有者が使っていた倉庫はそのまま町内会が防災倉庫として活用する。

 10日に完成イベントが行われ、かまどベンチを使った炊き出しなどが予定されている。

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