差別や格差がない社会へ 障害者、家族らシンポ

 相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件を巡り、障害者や家族らが語り合うシンポジウムが9日、横浜市旭区の区民文化センターサンハートで開かれた。障害者への差別をなくし、誰もが暮らしやすい社会の実現を訴えた。

 障害者の地域生活を支援する事業所でつくる全国組織「きょうされん」が主催するセミナーの一環で、約130人が参加した。

 NPO法人日本障害者協議会代表も務める藤井克徳専務理事が講演し、「優生思想に基づいた犯行は、効率性や生産性を優先する社会のゆがみが後押しした側面があるのではないか」と指摘。「こうした社会的な背景にメスを入れなければ、差別や格差はさらに深まっていく」と強調した。

 続いて行われた座談会には、事件で息子の一矢さんが重傷を負った尾野剛志さんと、横浜市内のグループホームに入所する三宅浩子さんが登壇。尾野さんは「差別社会が引き起こした事件。この差別をなくし、息子が幸せに暮らせる社会にするために実名で語り続けている」と説明。三宅さんは「仲間が殺されたのは許せない。障害者への理解をもっと深めてほしい」と求めた。

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