小田原市が中核市断念 移行と行革両立困難

 中核市への移行を目指してきた小田原市が、移行を断念する方針を固めたことが9日、関係者への取材で分かった。南足柄市との合併協議が“破談”したことで行財政改革に注力せざるを得なくなり、移行作業との両立は困難と判断したとみられる。19日に開会する小田原市議会3月定例会で、加藤憲一市長が見送りを表明する見通し。

 小田原市は、人口要件20万人の特例市制度を廃止した2015年4月の改正地方自治法施行に伴って定められた「施行時特例市」。施行時特例市は人口20万人未満でも20年3月までは中核市の指定が受けられる経過措置が設けられており、同市は16年3月に中核市移行基本計画案骨子を作成、一般市よりも多くの権限が県から移譲される中核市への移行を目指してきた。

 一方、同年10月には、南足柄市と「県西地域の中心市のあり方」を話し合う任意協議会を設置。市単独での移行作業を一時中断し、行財政基盤強化策としての合併などを協議した。だが南足柄市の加藤修平市長が昨年12月の市議会で合併見送りを表明し、小田原市の加藤憲一市長はその後、市単独での移行について、利点を強調しつつも「早急に判断したい」と述べるにとどめていた。

 関係者によると、法定期限内での移行は断念するものの、将来的な移行自体は否定しないという。

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