国、明言せず議論平行線 朝鮮半島出身の徴用工名簿破棄で超党派国会議員と懇談

 在外被爆者に被爆者援護法を適用させる超党派国会議員の懇談会が9日、東京都内であり、長崎地方法務局が朝鮮半島出身の元徴用工のものとみられる名簿を破棄した問題を議論。出席した市民団体「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」が国に名簿記載者の見解をただしたが、国ははっきりとした答えを示さず、議論は平行線に終わった。

 同法務局は約50年前、三菱重工業長崎造船所に戦時中徴用された朝鮮半島出身者とみられる約3400人分の名簿を破棄していた。

 元徴用工の名前が記されていた場合、被爆者健康手帳を取得する際に被爆事実を証明する証拠となるため、同会が問題視。実際、在外被爆者の手帳の却下処分取り消しを巡る訴訟で名簿の中身が論点の一つとなっている。

 懇談会は法務、厚生労働両省職員が出席し、冒頭を除き非公開。同会によると、国側は破棄したことは認めるものの、それが朝鮮半島出身者の名簿かどうかは明言を避けたという。在外被爆者支援連絡会代表で同会長崎支部長の平野伸人さんは「国は重大な証明を消し去った。今後さらに追及していく」と話した。

名簿破棄を巡る議員懇談会に出席した市民団体のメンバー=衆院第2議員会館

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