核廃絶、藤沢から発信 小中学生が平和学習報告

 藤沢から核なき世界を−。核兵器廃絶を訴えるイベント「平和の輪をひろげるつどい」が10日、藤沢市役所新庁舎(同市朝日町)で開かれた。長崎市の田上富久市長が100人を超える市民を前に「広島、長崎以外の街が『核兵器のない世界を目指す』とメッセージを発信することが大きな力となる」と呼び掛けた。

 藤沢市と市民らでつくる「市平和の輪をひろげる実行委員会」の共催。

 田上市長は、昨年の国連での核兵器禁止条約採択や、非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞受賞は「画期的だった」と強調。「条約の実現は難しいと言われていた。しかし、諦めず、思いに賛同してくれる人や国々と一緒に力を合わせ、知恵を出し合うことで条約ができた。小さなことの積み重ねが大きな一歩になる」と語った。

 藤沢市は1982年に「核兵器廃絶平和都市」を宣言。近年は小中高生を広島、長崎に派遣し、平和学習を行っている。

 この日は、田上市長の講演に続き、藤沢市の小中学生らが昨年の平和学習の活動を報告し、「身近な人に原爆の悲惨さを伝えていきたい」「本当のことを知る努力を続けていきたい」と力強く話した。

 長崎、藤沢の両市は「日本非核宣言自治体協議会」に加盟しており、田上市長が会長、藤沢市の鈴木恒夫市長が副会長を務める。同協議会は、核兵器廃絶や非核三原則の順守を求める自治体宣言や議会決議を行った全国330自治体で構成され、2014年には30周年記念大会が藤沢市で開催された。

 イベントに先立ち、広島で被爆した植物「アオギリ」の種から育った苗木を植える「植樹式」も庁舎内で行われ、田上、鈴木両市長らが参加した。

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