アルマーニの制服

 学校に制服があるのは意外に重宝な仕組みなのかもしれない。毎朝何を着ていくか何を着せるか、と親も子も悩まずに済む。きちんとして見えるから、冠婚葬祭をはじめ、あらゆるシチュエーションで着用できる▲ただ、6年間通う小学校の場合は-。身長も体重もどんどん変わる時期だから、ほとんどの児童は途中で買い替えが必要になるだろう。高学年になれば体格の個人差も大きくなる。議論の余地はありそうな▲東京・銀座の区立小学校の「アルマーニ製標準服」が波紋を呼んでいる。イタリアの高級ブランド、お値段が一式4万円超とか、洗い替えのシャツやブラウスまでそろえると8万円とか。子どもの日常着には度外れて高価。保護者には困惑が広がっているそうだ▲東京のど真ん中の話。こちらの居場所は外野席-とはなから承知はしているが、銀座も長崎も「小学生」に大きな違いはないだろう▲この学校には習字や絵画や掃除の時間はないのかな、昼休みは鬼ごっこやボール遊びではなく、室内で行儀よく過ごすのかな…と、あれやこれや心配▲「服育」なのだそうだ。理解に苦しむ。学校への誇りや愛着は充実した楽しい学校生活があって初めて育つものだ。身なりや見た目が先ではあるまいに。教育者ならそれが分からぬはずはあるまいに。(智)

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