血行障害が発覚した最速154キロ・鷹18歳左腕の今 意識する同級生の存在

ソフトバンク・古谷優人【写真:福谷佑介】

宮崎キャンプ第3クール初日の11日にブルペンでキャンプ最多の83球

 やはり秘めたる能力はダテじゃない。左腕から繰り出されるボールは、今時の言葉で言えば“エグい”。唸るような真っ直ぐが、キャッチャーミットを強く叩き、切れ味鋭いスライダーはブルペンキャッチャーが取りこぼしてしまうほど。まだ制球には改善の余地はあるものの、持っているボールは一級品であると再確認させられた。

 ソフトバンクの古谷優人投手。2016年のドラフト2位で北海道の江陵高から加入した左投手である。昨秋に胸郭出口症候群による左腕の血行障害が発覚。手術を回避し、投薬治療を選択した18歳が慎重に、だが少しずつ、前に歩みを進めている。

 軽い故障もあり、キャンプはB組からも外れ、リハビリ組として別メニューでスタート。第1クール3日目の2月3日に、キャンプ初のブルペンでの投球練習を行うと、第2クールにも1度、ブルペン入り。第3クールがスタートした11日には、今キャンプ最多の83球を投じ「状態は大丈夫。問題なくやれています」と語った。

 今年の宮崎キャンプは例年にないほどに寒い日が続く。そのせいもあって、まだ日によって、冷え感や痺れといった症状が出ることもある。ただ、本人にネガティブなところはない。日々、宿舎の自室では、持ち込んだ機器を使って血行を良くする炭酸泉に入浴。B組への完全合流も目前に迫っており、この第3クールでは2度のブルペン入りを予定している。

第3クールからA組に昇格した育成選手の長谷川宙は同級生「意識はしますよね」

 プロ2年目の18歳。「1軍で投げる」ことを2018年の目標に掲げる古谷は現状の心境を「焦らないようにしたいですね。焦りはありますけど……」と言う。その「焦り」の要因となるのが、同い年、同じ左腕の存在だ。

 育成選手の長谷川宙輝投手のことだ。聖徳学園高校から2016年の育成ドラフト2巡目で入団した同級生で、育成選手ながら大きな期待を集め、第3クールが始まった11日からはA組に昇格した。「長谷川に先に行かれているんで……。気にしないようにはしていますけど、やっぱり意識はしますよね。タメなので」と語る表情には悔しさが滲む。

 最速154キロを誇る将来性豊かな18歳の左腕。長谷川宙は最速149キロと、タイプは同じ本格派左腕だけに、どうしても意識してしまう。待ち受けるチーム内の熾烈な競争。その土俵に上がる日が、もう少しでやってくる。

(Full-Count編集部)

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