『サニー 32』 賛否両論上等! 鬼才が作ったぶっ飛びアイドル映画

(C)2018「サニー 32」製作委員会

 映画『凶悪』で鮮烈な印象を残して以来、『日本で一番悪い奴ら』に続き、昨年は『彼女がその名を知らない鳥たち』で蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊の役者リミッターを見事に外して、スンバラシイ演技を引き出した白石和彌監督。今いろんな役者さんが、白石監督にめちゃくちゃにされたい!と思っているのではないでしょうか(笑)。

 すでに私も試写で観て興奮でうち震えた白石監督の最新作『孤狼の血』の公開を前に公開されるのが、こちらの超問題作『サニー 32』! 同級生を殺害して、「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」と呼ばれた11歳の少女“サニー”。事件から14年後、仕事も私生活も今一つの中学教師・藤井赤理が二人の狂信的“サニー”信者から拉致され、監禁されるところから始まる本作ですが、多分映画館では今の時点で読者のみなさんの頭に浮かんだストーリーからは、全く予想できないところに連れて行かれると思います。

 私自身、ものすごいテンションで展開されていう物語に「え? え?」とぶん回され、ただただ振り落とされないようについていくのがやっとのこと。「私は一体なんの映画を観てるんだっけ」と自問しながら、鑑賞後は、「いや〜、ぶっ飛び!」と懐かしの名言を吐いてしまいました。私の友人のライターが「あの映画、大嫌いだったんだけど!」と憎々しげに言ったのが逆に面白くて、大笑いしてしまったのですが、こんなに賛否両論になる映画ってなかなかないと思います。サイコーに転ぶか、サイテーに転ぶかはあなた次第! 白石監督のぶっ飛びワールドをぜひ体感してみてください。★★★★☆(森田真帆)

監督:白石和彌

出演:北原里英、ピエール瀧、門脇麦、リリー・フランキー

2月17日(土)から全国公開

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