米艦事故報告書受け市民団体が要請書 横須賀

 昨年相次いだ米イージス艦の事故の原因や背景をまとめた米海軍の報告書などを踏まえて、市民団体「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」が13日、横須賀市に要請書を提出した。市民の安全を守るために、情報提供や注意喚起を日本政府や米海軍に求めるよう訴えている。

 要請書は、昨年公開された米海軍の包括的検討書と米政府監査院(GAO)の証言を基に作成。事故の原因として、米海軍横須賀基地(横須賀市)を拠点とする第7艦隊艦船の作戦航海の長期化、乗組員の訓練不足や過労の軽視、航海海域での資格認証の失効などを挙げている。

 同団体は「原因には構造的なものがある」と指摘し、東京湾での同様の事故発生を念頭に「軍事的緊張強化ではなく、平和外交緊張緩和による過重な作戦任務の減少」「乗員の生活の質も尊重し、ゆとりを持った艦船運用計画や勤務モデルの作成」などを米海軍と日本政府に申し入れるよう市に要請している。

 要請書では今月、同基地に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員が性的暴行の疑いで警視庁に身柄を確保された事件や、薬物使用や取引に関与した疑いで米海軍の取り調べを受けていることにも言及。

 同団体のメンバーは、「イージス艦の相次ぐ事故とレーガンの不祥事は別の問題ではなく、トランプ政権下の性急な作戦スケジュールの下で起きている。さらに大きな事故・事件に発展しないためにも市には対応してほしい」と話している。

 同基地に配備されている米イージス艦2隻の事故は昨年6月と8月に発生。静岡県・伊豆半島沖とシンガポール近くのマラッカ海峡東方で、民間船と衝突していた。

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