金属行人(2月15日付)

 「四季とともに暮らしてきた日本人は『節目』を意識し、また大切にしてきた概念の一つ」だと聞いたことがある。異説も承知しているが、ここでその見解うんぬんを論じるつもりはなく感覚的な部分で個人的に納得している▼季節や期間、時間、年齢などで「区切り」を定め、それまでに何かを決めて行動し、その結果を省み、次の区切りまでにまた新たな目標を定めて達成に向け実践に移す…を繰り返すのに「節目」は門出になるし、めりはりがつくのでアクションを起こしやすい▼待望の需要期が到来した。それを捕捉し「成果の実」を得るための絶好の機会と捉えた鋼材加工流通業が、具体的な行動に出たケースが多い。その際「2020東京五輪まで」をターゲットに業容拡充、業務刷新、組織変革を推進しつつ、その後に再来するだろう景況変化への「備え」を万全にしようというわけだ▼今、鋼材需要の風向きを正しく捉え、その勢いに乗ろうと努力したところがその恩恵を享受し得る。大事なのはタイミングであり、先駆者優位の主導権争いにライバルは躍起だ。後塵を拝すれば後々の格差となりかねない。切磋琢磨によって足元の好機が鋼材加工流通業にとって業態改善の「節目」となることを願う。

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