郵便局元幹部、収賄疑い 神奈川県警が逮捕

 業者が発送するダイレクトメール(DM)の数量を実際より少なく集計して値引きし、見返りに接待を受けたとして、県警捜査2課と青葉署などは15日、日本郵便株式会社法違反(加重収賄)と背任の疑いで、青葉郵便局元郵便部長の容疑者(52)=大和市深見台=を逮捕した。

 合わせて同日、東京都中央区のDM業者「ティーティーオー」の元役員の容疑者(41)=東京都江戸川区=を同法の贈賄容疑と背任容疑で、同社元社員の容疑者(29)=同=を背任容疑で逮捕した。

 県警によると、同法の贈収賄容疑の適用は全国初。日本郵便の損害額は1億円を超えるとみられる。県警は3容疑者の認否を明らかにしていない。

 日本郵便の社員は、2007年の郵政民営化後も、公益性の高い事業を行うことから、同法に収賄罪の罰則規定がある。

 元部長の容疑者の逮捕容疑は、業者側の両容疑者が申告したDMの数量が実際より少なかったり、別の種類だったりしたのを72回にわたって黙認し、正規料金との差額を受け取らずに日本郵便に損害を与え、見返りに17年1〜8月ごろ、旅行や飲食など計約61万円相当の接待を受けた、としている。

 県警によると、元部長の容疑者は、川崎市宮前区の宮前郵便局を経て、17年4月から青葉郵便局の郵便部長としてDMの数量検査を統括していた。ティー社のDMを検査する際は、業者側の容疑者に計量などの操作を任せていたという。不正は17年8月に日本郵便の内部調査で発覚した。

 東京商工リサーチによると、ティー社は1997年4月に設立。DMの発送やゴルフ関連事業などを手掛け、2016年11月期決算の純利益は約7億4800万円だった。日本郵便南関東支社(川崎市川崎区)は「お客さまの信頼を損ない、深くおわびする。社員に対する指導を徹底する」とコメントした。

 県警は15日、青葉署に特別捜査本部を設置し、全容解明を進める。

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