箱根ロープウェイ、運行停止判断基準変更 火山ガス安全対策へ訓練

 火山ガスの影響で部分的な開放にとどまっている箱根山(箱根町)の大涌谷を通る箱根ロープウェイ(小田原市)は15日、ガスによる運行停止の判断基準を改めた。運用開始に先立ち、ガス濃度の上昇を想定した訓練を実施し、関係機関とともに避難や救助の手順を確かめた。

 2016年7月の大涌谷園地の部分開放以降、同社は大涌谷駅舎やゴンドラ内で0・2ppm以上の二酸化硫黄(SO2)が計測された際にゴンドラの運行を停止。今月13日の箱根山火山防災協議会幹事会で、安全対策を強化した上で停止の判断基準を5ppm以上に変更する案が了承された。

 15日からはこのほか、ゴンドラを含め計7カ所ある計測地点のいずれかで0・2ppm以上(5分間の平均値)となった場合、ゴンドラ内に火山ガス濃度の上昇を伝える放送を英語や中国語も含めた四カ国語で流すことにし、駅舎には火山ガスへの注意を促すポスターを張り出した。また、営業運転用のゴンドラ全18基で携帯酸素缶などの救急用品を増やしたという。

 この日の訓練はSO2の濃度が0・2ppmに上昇したことを想定し、体調不良を訴えた乗客を救急搬送する訓練を実施。ゴンドラ内には「救急箱からメディカルシートを取り出して鼻と口を覆ってください」と放送した。また、濃度が2ppm以上となった場合に「大涌谷からの下山をお願いします」などと呼び掛ける放送も試した。

 箱根山の火山活動の現状について国の火山噴火予知連絡会は14日、「地震活動は低調で、顕著な地殻変動は観測されていない」としつつ、「大涌谷の火口域では、土砂の噴出を伴うようなごく小規模な火山ガス等の噴出現象が発生する可能性がある」との評価結果を公表した。

© 株式会社神奈川新聞社