市文化財新たに3件 大絵図や円覚寺の木造立像

 鎌倉市は、市有形文化財に木造梵天(ぼんてん)・帝釈天立像(たいしゃくてんりゅうぞう)など彫刻、古文書、歴史資料計3件を新たに追加した。市指定文化財は321件となった。指定された3件は次の通り。

 【木造梵天・帝釈天立像】円覚寺の本尊「宝冠釈迦如来坐像」の両脇侍として安置される。自由な写実味ある表現から南北朝時代14世紀後半ごろの作と考えられる。同時代の鎌倉地方の特色ある作風を顕著に示す。

 【紙本著色 岡御神領往還 谷々小道分間図】鶴岡八幡宮の「御神領」を中心とした、江戸時代の鎌倉の往還路や谷戸などを描いた大絵図。制作理由や経緯は不明だが、広い範囲で谷戸や道筋が詳細に書き込まれ、鎌倉では類がない。

 【荏柄天神社詩板】鎌倉五山の禅僧たちから寄せられた天神の徳を称賛する詩を板に陰刻したもの。原形は室町時代の成立で、この詩板は江戸時代に転写されたものと推定できる。神社に伝来した禅僧の詩板としてきわめてまれ。

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