退職金廃止果たせず 村田・二宮町長、14年選挙公約

 2014年11月の二宮町長選で退職金廃止を公約に掲げて初当選した村田邦子町長の退職金が、1期目の任期最終年に当たる18年度一般会計当初予算案に計上されていることが16日、分かった。17年度までの過去3年の予算にも約257万円ずつ配分されており、村田町長は「制度上廃止できなかった。法務局に供託したい。今後何らかの形で町民に説明したい」と弁明。ただ町議、町民からは見通しの甘さを指摘する声や批判が出ている。

  「1期4年の任期で退職金は約1380万円。町の財政が厳しいなら廃止していく」。村田町長が町長選で公約に掲げていた退職金廃止。就任直後の14年12月の町議会でも、同町を含む3市14町村などで組織し、退職手当の支給事務を担う県市町村職員退職手当組合に働き掛けを始めると所信表明していた。

 しかし同組合によると、組合には各市町村が自治体単位で加入しているため、町長個人だけを対象から外すことは不可能。廃止するのであれば組合の条例改正が必要となるものの、各首長が務める組合議員に村田町長以外の賛同者がおらず、着手できていない。

 村田町長は「退職金廃止への仕組みは理解していたが、(組合議員の)最低2人で提案する改正案への賛同が得られなかった」と説明。一方、町議の一人は町議を2期、県議を1期務めている町長の経験を重く捉え、政策立案の甘さを指摘。「公約を果たそうという積極的な姿勢は見られなかった」とも批判する。

 また村田町長は「法務局に供託として預け入れ、職を離れてから町に寄付する」という。公職に就いたまま退職金を返上すると、公選法で禁止される「候補者の寄付行為」に抵触するための措置だが、今秋の次期町長選に立候補、当選すればさらに供託を続けなければならず、早期の人件費削減にはつながらなくなる。

 次期町長選には添田孝司町議が出馬の意向を表明。村田町長は現在、進退を明らかにしていない。

 町内の40代主婦は「(退職金を)廃止するというイメージを抱かせたからこそ前回は支持した。発した言葉には責任を持ってほしい」と冷ややかに成り行きを見守っている。

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