要配慮者住居 神奈川県内2戸 認知度不足、黒岩知事対策へ

 神奈川県は16日、賃貸住宅への入居を断られやすい単身高齢者や外国人などに空き物件を提供する制度について、県内の登録が2戸にとどまっていることを明らかにした。国は2020年度末までに全国で17万5千戸の登録を掲げており、黒岩祐治知事は「住宅確保要配慮者の居住の安定のため重要な施策」と述べ、全県的に取り組む方針を示した。

 昨年4月に成立した改正住宅セーフティーネット法に基づく新制度で、所有者に物件を登録してもらい、自治体が改修費や家賃の一部を補助する仕組み。県は空き家や賃貸住宅の登録とともに、入居相談や安否確認を担う「居住支援法人」の指定を進めている。

 だが同日現在で登録物件は横浜市と寒川町の各1部屋、支援法人も1件のみ。認知度不足の上、国土交通省がまとめた制度のため、福祉部門との連携が不十分な点などが指摘される。

 15年の国勢調査によると、県内の高齢者世帯は約83万、外国人世帯約9万、ひとり親世帯は約5万。その一方、民間住宅では家賃滞納や孤独死などを理由に二の足を踏む家主がいる実態も明らかになった。

 国交省の資料では、単身高齢者の入居に拒否感がある家主は65%、生活保護受給者に対しては60%に上った。人口減で公営住宅の増加が見込めない中、単身高齢者は今後10年で100万人増加すると推計され、安心して暮らせる住宅の確保が求められている。

 知事は「福祉関係団体が不動産に関する知識を得て、住宅確保要配慮者と家主をつなぐ役割を担ってもらうことが必要」と強調。福祉関係団体向けの説明会を開くとともに、自治体や不動産団体などでつくる「居住支援協議会」を市町村ごとに広げるとした。

 同日の県議会本会議で渡辺均氏(公明党)の質問に答えた。

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