がん研究の拠点に LICに初の英国系企業・川崎

 再生・細胞医療の産業化拠点施設「ライフイノベーションセンター」(LIC、川崎市川崎区)に14日、英国系企業では初めて、スコットランドの「TCバイオファーム」が入居した。同社は「がん患者のための再生医療に取り組む。日本企業と業務提携し、製品化を進めていきたい」としている。

 同社はがん免疫療法分野で英国の有力企業。LICを日本での臨床研究の拠点とし、将来的にはがんだけでなく、インフルエンザ、エイズウイルス(HIV)など感染症の治療や幹細胞を使った医療分野にも広げていくという。

 同日、県庁を訪れたマイケル・リーク社長は「羽田空港に近く、英国から毎日便が飛んでいるし、今後国内で職員を増やす上でも便がいい」などとLIC進出の理由を説明。「製品開発を日本の企業とともに進めていきたい。2年以内に血液のがんを患った日本人の患者さんを治療したい」と抱負を述べた。

 LICへの入居は27社目。県は2015年に英国の政府関係機関「セルアンドジーンセラピー・カタパルト」と覚書を交わしたのを皮切りに、生命科学分野でスコットランドとの連携を強化している。黒岩祐治知事は「20年には空港とつなぐ橋もできる。世界中の人々に最先端の医療を提供できる基地となるよう、一緒にやっていきたい」と期待を寄せた。

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