フランスのジル・パリスの小説を、スイスのクロード・バラス監督がコマ撮りの人形アニメで映画化した意欲作。母が名付けた愛称のズッキーニが気に入っていたイカール少年は、母を亡くして養護施設に預けられる。そこにはさまざまな事情で親と一緒に住めない子供たちが暮らしていた。
児童虐待や育児放棄といった社会的な題材を、愛らしい表情とユーモラスな動きで巧みに描写。たこ揚げの影の具合など照明の使い方が絶妙で、コマ撮りならではの温かみが子供たちの心のひだを浮き彫りにする。人形アニメの表現力の豊かさに改めて感じ入った。