日綜産業のユニット足場「マルチアングル工法」働き方改革に寄与 建設業の生産性向上など、宮城県登米市で現場見学会

 軽仮設機材メーカー・日綜産業(本社・東京都中央区、社長・小野大氏)のNETIS登録技術である法面作業構台「マルチアングル工法」が、建設現場の生産性向上や工期短縮、人手不足緩和などに成果を上げている。このほど同工法を採用する道路法面工事の見学会が行われ、施工する陽光建設(本社・仙台市、社長・邑上和也氏)が現場作業を公開。同工法を採用した経緯や〝働き方改革〟への取り組みなどを語った。

 同工法は斜面・法面工事においてアンカー工やボーリング工で使用する削孔機・ボーリング機械を設置する機械構台や、乗り入れ構台として使用するユニット足場。固定部材をシステム化したことで作業性・安全性が格段に向上し、単管とクランプ、番線で組んでいた従来の構台足場に比べ「ハンマー1本で組立・解体が可能」「組立後、削孔機などによる振動でもクサビが緩まない」「人手による運搬が可能」「構台の盛替えが容易」などの特長を持ち、工期短縮を実現。さらに改良を重ね開発した各種部材のラインナップも豊富で、多様な組み合わせにより接地面地盤をはじめ現場の状況、規模に対応した柔軟な足場組立が行える。

 採用された現場は宮城県発注の丸森災害防除工事(施工地・宮城県登米市東和町錦織地内、施工延長=76・2メートル)で、県道に沿った法面の崩壊に伴う復旧工事。格子状の吹付法枠の交点に約19メートルのグランドアンカーを打ち込み地山安定を図るアンカー工において、削孔機を設置する作業構台として使用。昨年11月から約200トン、延べ6150空立方メートル投入され、工事は来月下旬完工を目指し順調に推移している。

 現場代理人の陽光建設・佐々木健所長は「工期短縮が大きなメリット。従来の単管足場に比べて組立時の工期、人員とも半分で済んだ。作業床がフラットなため作業効率も向上した」と採用効果を解説。また同社石崎正剛施工・安全部長は「固定金具が一体化しており、単管足場組立時のようなジョイント金具の落下事故もなく安全。凸凹のない作業床で外観の見栄えがよく、公共工事のイメージアップにもつながる」とした上で「建設業は今、働き方改革への対応が求められている。その中で、今回初採用したマルチアングル工法は工期短縮、生産性向上に寄与できる法面業界のイノベーション技術。この現場で得た成果を次の現場でも活用・確立しながら、会社として安全施工、現場の時短に一層取り組んでいきたい」と述べた。

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