障害者雇用の促進訴え 作家の小松さんが自著題材に講演会

 ノンフィクション作家の小松成美さんを講師に迎えた人権啓発講演会がこのほど、座間市緑ケ丘のハーモニーホール座間で開かれた。座間市と市人権擁護委員会の主催で約140人が参加。小松さんは障害者雇用に力を入れる企業を描いた自著を題材に「自分ではない他者のために何ができるか。それは自分でできることでいい」と訴えた。

 講演のテーマはチョーク製造国内大手の日本理化学工業(川崎市高津区)を描いた小松さんの著書「虹色のチョーク 働く幸せを実現した町工場の奇跡」。同社は従業員85人のうち63人が知的障害者で、チョークの製造ラインの全工程を知的障害者が担っているという。

 取材で引き出した関係者の言葉を織り交ぜながら、同社の歩みや取り組みを紹介。小松さんは「お互いを感じ合うこと。そこに真の意味で助け合いがある」と話し、共感や共助の大切さを訴えた。

 また、著書では障害者を実名で紹介することにこだわったという。相模原障害者施設殺傷事件にも言及し、障害者の家族らから「隠すべき人生はない」などと伝えられ、「(匿名ではなく)真実の物語として書きたいと願うようになった」と述べた。

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