中核市移行断念を表明 「行財政基盤確立を優先」小田原市長

 小田原市の加藤憲一市長は19日、中核市への移行について「まずは基礎自治体として、安定的に行政サービスを提供することのできる強固な行財政基盤を確立することを優先すべきと判断した」と述べ、移行を断念することを正式に表明した。

 加藤市長は、同日開会の市議会3月定例会の本会議で施政方針演説を行い、その冒頭で移行について言及した。南足柄市との合併協議が“破談”したことに触れ、「合併という抜本的な手段を取り得なくなった今、行財政基盤の確立のために、全庁を挙げて厳しい行財政改革に取り組む。そこには、相当なエネルギーを注いでいかなければならない」と説明した。

 中核市移行について「基本的には移行すべきと考える」としつつ、「準備や調整において、市役所全体に難度の高い相当量の事務負荷が生じるものと見込まれる」と指摘。「いずれも大きな事務の負担を要する『厳しい行財政改革』と『中核市への移行』、この二つに並行して取り組むことは困難」と結論付けた。

 その一方、「権能強化の取り組みを将来にわたって放棄するものではない」などとも述べ、将来的な移行に含みを持たせた。

 市は2016年3月に中核市移行基本計画案骨子を作成、一般市よりも多くの権限が県から移譲される中核市への移行を目指してきた。

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