楽天の「あまちゃん」、NPBの「メキシコ人史上最高の打者」になれるか

楽天の「あまちゃん」ことジャフェット・アマダー【写真:荒川祐史】

日本球界の歴史上最重量のアマダー、今季はNPBの唯一のメキシコ人に

 193センチ135キロの巨躯を誇る楽天のジャフェット・アマダー内野手は、日本球界の歴史上、最重量の選手である。そして、アマダーにとって来日3年目となる今シーズンは、NPBに在籍する唯一のメキシコ人選手としての戦いでもある。

 その体格通り長距離砲として期待され、2016年に楽天の一員となったアマダー。初年度は故障に悩まされながらも、39試合で9本塁打を放ってそのパワーの片鱗を見せ付けた。

 しかし、来日2年目となる昨年は、開幕序盤は打率が2割台前後を行き来する低空飛行を続けてしまう。それでも、そのポテンシャルを信じて起用を続けた梨田監督の期待に応え、シーズン中盤からは豪快なバッティングを披露し始めた。

 7月に8本塁打、9月までの3か月で16本塁打を放って復調をアピールすると、通算では121試合に出場して打率.237ながら、23本塁打、65打点という好成績を残す。日本球界初の「外国人選手20発トリオ」の一角として、チームのAクラス入りにも大きく貢献した。

 短期決戦でもその打棒は威力を発揮し、クライマックスシリーズのファイナルステージでは2本のアーチを描く。チームは敗れて日本シリーズ進出はならなかったものの、来季以降の躍進に向けて、さらなる期待を抱かせてくれたことは間違いない。

「あまちゃん」とも呼ばれる謙虚なメキシカン

 メキシコといえばラテンアメリカの国。その地の出身者も明るく陽気な性格をしていると思われがちだが、アマダーは真面目で大人しい性格だという。昨年7月22日のお立ち台では今江年晶内野手に促され、スペイン語による初々しい「Burn!」も披露してくれた。

 契約更新の席では「来シーズンもチャンスを与えてくれたチームに本当に感謝しています。少しでもチームの勝利に貢献できるように頑張りますので、来年も熱い声援をよろしくお願いします」と語る謙虚なメキシカンは、優勝を狙うチームにとって今後も頼もしい存在だ。

 今オフ、チームメイトのルイス・クルーズ内野手や、北海道日本ハムで活躍したルイス・メンドーサ投手が日本球界を離れたことで、アマダーは現時点で唯一、日本球界でプレーを続けるメキシコ人選手となった。

 過去に日本球界で活躍したメキシコ人選手としては、2005年のカリーム・ガルシア氏(元・オリックス)や、2000年のナルシソ・エルビラ氏(元近鉄)など個性的な面々が揃っているが、長く成功を収めた選手は未だ現れていないのが実情だ。

 それでも、アマダーがかっ飛ばす豪快なアーチには、ファンならずともロマンを感じる。「あまちゃん」の愛称でチームメイトからも親しまれる真摯な巨人は、いずれは日本球界における「メキシコ人史上最高の打者」と呼ばれるほどの存在になれるだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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