通算32作目となるシングル。近年は、アクティブなアニソンの『限界突破×サバイバー』や、GReeeeN提供の爽やかなエールソングの『碧し』など、配信先行の楽曲では果敢にポップス系に挑んでいるが、CDシングルはそれとは真逆の演歌路線を貫いている。
表題曲は、『浪花節だよ人生は』風のリズミカルな人生讃歌。サビの「ヨイショ!」や「ハッ」の勇ましい掛け声や、2番の後にすぐサビを繰り返す点など、カラオケでもウケそうだ。
カップリングの『柔道(やわらみち)』は、詞のテーマも、曲のテンポやアレンジもすべて、美空ひばり『柔』風の構成。2曲とも昭和の名曲を奇をてらわずに焼き直しているが、そこが良い。原曲自体が憶えやすく、それを明朗な歌声の氷川が歌うことで、演歌以外のリスナーにも届きそうな親しみやすさをも生ずるからだ。
過去に歌ってきたラテン歌謡も、今の歌唱力ならいっそう輝きを放ちそうで、今後も期待。本作を聴けば、演歌に限らず様々な音楽の“食わず嫌い”が改善されるはず。
(日本コロムビア・Aタイプ 1204円+税)=臼井孝