日立台のゴール裏1階は、なぜACLで「封鎖」されているのか?

Jリーグの中でも数少ないサッカー専用スタジアムの一つ、三協フロンテア柏スタジアム(日立柏サッカー場)。

キャパシティは1万5000ほどとコンパクトだが、観客席とピッチの距離が近く、その臨場感は独特のものがある。

特に「柏熱地帯(はくねつちたい)」と呼ばれるゴール裏は熱量が高く、毎試合のようにコアなサポーターたちが足を運ぶ。

しかし、そんな日立台のゴール裏が見慣れぬ格好になっていた。

20日(火)に行われたAFCチャンピオンズリーグのグループステージ第2節、天津権健戦でのゴール裏の様子を見てみると…

柏熱地帯の1階は封鎖され、サポーターが掲示した黄色い幕やメッセージボード、フラッグなどで覆われていたのだ。

こちらは1月30(水)に行われたプレーオフ、ムアントン・ユナイテッド戦での一枚。

やはり1階が使用されていないが、その違和感は、普段Jリーグを見慣れた人なら間違いなく気付くほどである。

では、なぜ日立台のゴール裏1階は閉鎖されたのだろうか?

日立台のゴール裏が閉鎖になった理由は、アジアサッカー連盟(AFC)のレギュレーションにある。

AFCが定める"STADIUM REGULATIONS"には、「Seating(座席)」の項に以下のような記載がある。

全ての観客は着席していなければならない。

その座席は一人ひとりの間隔が分離されたもので、例えば床などといった建築物に設置されたもので、支えるための背もたれが付いているなど快適な形体をしていなければいけない。

AFCは近年、観客席に関する規定を厳格化しており、座席について以上のようなルールを設けている。

背もたれ付きの独立した席のみが座席として認められているため、立ち見席である柏熱地帯の1階は使用することができないというわけだ(アウェイ側のゴール裏も立ち見席であるため使用できない)。

AFCのレギュレーションでは他にも座席に関する決まりがあり、例えば快適な足元のスペースを確保するため、背もたれから背もたれまでの間隔は最低でも80cm以上が推奨されている。

また、全ての座席に番号を振らなければならず、柏熱地帯の2階では入退場時にチケットチェックが行われている。

この日は2階から声援を送った熱狂的なサポーターたち。

選手としてもよりゴール裏の1階にファンがいてくれた方が力になるはずだが、今シーズンのACLはこのようなイレギュラーな形で試合に臨まなければならないようだ。

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