「企業偏重」の意見も 県立川崎図書館巡り学習会

 かながわサイエンスパーク(KSP、川崎市高津区)への5月の移転を控え休館中の県立川崎図書館を巡る学習会が20日夜、同市中原区のエポックなかはらで開かれた。企業支援を重視する県教育委員会の方針に「県民全体の利益を」と懸念の声が上がった。

 市民らでつくる川崎の文化と図書館を発展させる会が主催し約20人が参加。同館元館長の林秀明さん、横浜市中央図書館の元企画運営課長の坪内一さん、日本図書館協会の元事務局長、松岡要さんが発言した。

 林さんは、県が緊急財政対策の一環で川崎図書館の廃止を表明した6年前を振り返り、利用者の声が危機を食い止めたと評価。一方で坪内さんは、県教委が目指す企業支援の機能について「(同館の得意とする)科学技術分野の資料提供も、あくまで県域全体を対象にすべきだ」と述べた。

 参加者からは、県教委が「ものづくり支援の機能に特化」を掲げたり、日曜を休館日に設定したりしたことに「企業優先で地元の利用者が忘れられているのでは」との意見が出された。

 

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