右偏重のチームに左が優秀なチーム…左右別成績から見る全12球団の投手事情

西武・菊池雄星【写真:編集部】

2017年の投手成績を左右別に見ると、意外なばらつきが…

 プロ野球春季キャンプも2クール目に入り、各球団では主力投手陣の大部分がブルペン入りしている。個々の投手の仕上がりも気になるが、各球団の投手陣を左右別に見ると、意外にばらつきがあることがわかる。

 2017年度の各球団の左右別投手成績を見ていこう。

【パ・リーグ】

◯ソフトバンク
右・17人・83勝45敗57S93H 1116回 防御率3.27
左・8人・11勝4敗1S32H 160回1/3 防御率2.92

◯西武
右・19人・52勝49敗29S72H 919回2/3 防御率3.75
左・7人・27勝12敗0S14H 350回 防御率2.98

◯楽天
右・21人・60勝47敗8S84H 991回2/3 防御率3.35
左・8人・17勝16敗33S20H 289回 防御率3.30

◯オリックス
右・22人・55勝55敗35S83H 1024回1/3 防御率3.64
左・6人・8勝24敗0S9H 251回 防御率4.63

◯日本ハム
右・22人・45勝64敗31S86H 998回1/3 防御率3.76
左・7人・15勝19敗0S28H 268回1/3 防御率4.02

◯ロッテ
右・20人・50勝77敗27S64H 1117回 防御率4.09
左・6人・4勝10敗0S25H 147回2/3 防御率5.18

 ソフトバンクは94勝のうち88%にあたる83勝を右投手で上げている。セーブもほとんどが右投手。左投手の投球回数はリーグで2番目に少ないが、防御率は良い。これは救援で優秀な成績を挙げた嘉弥真とモイネロがいるからだ。大隣が退団し、左の先発がほしいところだが、目だった補強はしていない。

 西武はエースの菊池が左腕。左の勝利数は最多。今季は右の先発・野上が抜ける。楽天は、エースの則本が右、クローザーの松井が左、セットアッパーの福山が右、高梨が左と左右にバランスよく分散しているが、左ではそれ以外の投手の成績がやや物足りなく、防御率が上位2球団に劣っている。

 4位以下は、左投手の防御率が4点台以下。オリックスは、左の松葉、山崎福が揃って不振。エースの金子、山岡、西とローテは右偏重。ドラフト1位で左腕・田嶋大樹を取った。

 日本ハムは先発陣に加藤貴之、救援に公文克彦、宮西尚生と左投手がいるが、右投手が不安だ。大谷翔平、増井浩俊が抜け、有原航平、高梨裕稔に期待が集まるが、実績に乏しい。柱となる投手が見当たらない。

 ロッテは、昨年不振だっただけに左右ともに投手成績が良くない。しかし、左では救援の松永昂大とチェンが、まずまずの働きをした。右はエース涌井が残留したことで、戦力的な前年割れは食い止めた。新外国人5人のうち3人が投手。さらにドラフト3位で即戦力左腕の山本大貴を獲得するなど、まずは量的な積み上げを目指している。

阪神は左右のバランスが取れて優秀、DeNAは左腕王国

【セ・リーグ】

◯広島
右・17人・81勝45敗36S112H 1160回1/3 防御率3.19
左・7人・7勝6敗0S2H 130回1/3 防御率5.18

◯阪神
右・20人・53勝42敗37S93H 868回 防御率3.16
左・8人・25勝19敗1S36H 417回2/3 防御率3.60

◯DeNA
右・22人・43勝38敗33S94H 771回1/3 防御率4.03
左・6人・30勝27敗2S43H 514回2/3 防御率3.50

◯巨人
右・15人・53勝46敗31S44H 893回 防御率3.01
左・10人・19勝22敗0S13H 383回 防御率4.02

◯中日
右・18人・29勝39敗35S67H 665回1/3 防御率4.15
左・11人・30勝40敗2S31H 615回2/3 防御率3.96

◯ヤクルト
右・23人・41勝78敗18S74H 1061回1/3 防御率4.05
左・9人・4勝18敗0S1H 199回2/3 防御率5.14

 戦力的にはリーグで優位に立つ広島だが、泣き所は左投手だ。昨季は左のエース格のジョンソンがシーズンを通しては投げられなかった。ジョンソンの復活、左投手の奮起が求められる。

 阪神は左右のバランスが取れて優秀。特に左は岩崎優、高橋聡と「勝利の方程式」を担う投手が充実。これで右先発の藤浪が戻れば、さらに充実するだろう。

 DeNAは左投手王国だ。左の勝ち星は中日に並ぶ30勝。先発で今永、石田健大、濱口と左腕がずらっと並ぶ。右はウィーランドと井納がいるが、バランス的にはもう1枚右投手がほしいところだ。

 巨人はやや右偏重。左は先発で田口、救援で池田駿がいたが、吉川、山口鉄也、森福らが苦戦した。しかし、今季は右もマイコラスが抜ける。新外国人ヤングマンを獲得し、西武から野上が入るが、未知数の部分が多い。

 中日は左が右の勝ち星を上回っている。大野、小笠原、バルデスと先発は左が並んでいた。クローザーは右の田島だったが、先発が足りない。セットアッパーの右腕・又吉を先発転向させる。

 ヤクルトは、96敗しただけに、投手成績もよくないが、特に現役最多勝左腕の石川が防御率5.11と沈んだのが痛かった。右の小川とともに、左右で先発を引っ張ることができれば、成績は上昇するだろう。

(Full-Count編集部)

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