異種金属の超音波接合機ベンチャー、産業革新機構が3.5億円投資

 産業革新機構(社長・勝又幹英氏)は22日、アルミと銅、アルミとニッケルなど異種金属を超音波振動で接合する工業用途の装置を開発・製造する世界唯一のベンチャー企業「LINK―US」(本社・神奈川県横浜市、社長・光行潤氏)に対し、上限4億円を出資すると発表した。同社が開発した接合技術は、需要拡大が見込まれるリチウムイオン電池やパワーデバイスなど小型軽量化が求められる製品群で注目される。このため成長資金として出資を決め、このほど3億5千万円の投資を実行した。

 超音波複合振動接合装置は同種または異種金属の溶接部に超音波で振動する工具を押し当て、母材の摩擦によって接合を行うもの。接合界面の結晶粒同士が原子間距離まで接近することで接合する金属間に強い引力が働き、冶金結合が生成される。ただ、従来の超音波振動接合装置は接合強度の不均等などで歩留まりや品質面に多くの課題があった。

 LINK―USが開発した装置は、斜めスリットを施した独自の変換部構造により、直線振動の超音波を複合振動に変換。振動軌跡が楕円(だえん)を描くことで接合に方向性がなく、一定で安定した接合強度を実現した。

 産業革新機構は、金属接合は製造業の基本技術であり、LINK―USの接合技術が発展することで日本の製造業の競争力が下支えできると期待。出資とともに社外取締役を派遣し、組織体制の強化や戦略パートナーとの提携支援など継続的な経営サポートを行う。

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