「やっかいなドライバー」と「勝てるドライバー」。GT300王者を目指し初タッグを組む同期でライバルの中山と小林

 22日に体制発表を行ったTEAM UP GARAGE。同チーム4年目となる中山友貴のチームメイトとして昨年ARTAでGT500を戦っていた小林崇志が加入した。ふたりは1987年生まれの同い年で鈴鹿レーシングスクールの同期生だ。

 ホンダを離れることとなった小林。TEAM UP GARAGEへの加入に対し石田誠監督は、「小林君はめちゃめちゃ速いのはわかっていました。今年シートを探していると聞いて、うちのチームで乗って欲しいと三顧の礼でお願いして、契約にこぎ着けました」とコメント。

「ふたりとも同じようなキャリアでライバル心もある。心配する部分も少しあるけど、ふたりとも大人だし、僕たちチームがいい意味でのライバル心をうまく引き出していきたい。ここ2年間新人の子たちを使っていたのでなかなかコミュニケーションがうまくいかない部分もあったけれど、ふたりはレベルの高いコミュニケーションをしてくれているので、とてもいい感じ」とふたりへの期待を語った。

 チーム加入4年目となる中山は、「今年はチームの体制面も少し変わり、小林選手も加入しました。石田監督から話を聞いた時は、すごく楽しみだと思いましたね。レーシングプロジェクトバンドウさんとジョイントしていたプロジェクトから切り替わって、新たにTEAM UP GARAGEとして今年から動き出します。大きく見た目とか変更はないのですが、坂東(正敬)さんが今までレース運営面で助けてくれていた部分もあり、それをUP GARAGEがやっていくということで新たなチャレンジになりますね」

「クルマ自体もメンテナンスの中春さんも変更はないですし、チームメイトは強力なパートナーです。同期でライバルでよく知っている仲なので、不安要素はないですし、すぐ即戦力として一緒に力強いレースをやっていけると思います」

「本当に言い訳出来ないいい環境を作ってもらったので、まずは早く勝ちたいですし、シリーズチャンピオンを目指すためにも年間を通して安定して上位でポイントを取っていかないといけない。それは2013年にチャンピオンを獲得した時に経験したので、どんなコースでも、どんなレースでもしぶとく前にいて、スポンサーアピールもしていきたいですね」と意気込みをコメント。

 小林に対しては、「小林選手は2017年もGT500で優勝していますよね。ここ数年、本当にスーパーGTはレベルが上がっていて、ドライバーだけでなく、チームのメンテナンス力やクルマの分析する力など総合的にレベルアップしている。熾烈なGT500クラスの中で優勝するには、本当に速くて強いドライバーじゃないと勝てないですよね」

「僕が2013年に武藤(英紀)選手とGT300でチャンピオンを取らしてもらった時に、同じホンダCR-Zで小林選手も戦っていて、僕らは勝ってないけど彼は2回も勝っている。勝てるドライバーは見渡してもなかなかいないと思うんですよ。勝つドライバーというのは必要なものをしっかりと身に付けている。その辺を自分もうまく吸収していきながら、お互いにいいところを出し合って力を見せていきたいですね」と評価している。

 長年過ごしたARTAから離れ心機一転で臨む小林も、「理想を言えば、シリーズチャンピオンと鈴鹿10時間の完全制覇がいちばんカッコいいので全力で目指していきたいですね」と目標に掲げる。

 初めて乗るマザーシャシーのトヨタ86に対しては、「ホンダCR-ZやBMW M6で戦っていた時は、ライバル勢のマザーシャシーは正直ズルいなって思っていましたね(笑)。僕の印象としては戦闘力は高いんだろうなと思っています。25号車しか勝っていない状況ですけど、2号車も18号車も上位で戦っていましたし、一発の速さはあると思います。予選では強力なマシンですよね」

「決勝に関しては僕がヨコハマタイヤを使うのが初めてなので、どれくらいのロングランの性能があるのかわからないですけど、25号車とかを見ると戦略の幅があると思います。実際乗ってみて、どういうパフォーマンスかを判断して、適切に対処していけば戦闘力は高いと思います」と印象をコメント。

 また同期でライバルである中山への信頼も高い。

「高校3年生の時にSRS-Fに入って、その時からライバルですよね。、中山選手が首席で、僕は3番目だったんですよ。その後FCJで彼は2勝くらいして、すぐF3に上がってしまったので、なかなか同じカテゴリーで戦うことがありませんでしたね。僕がようやくGT500にステップアップした時に、一緒の舞台で戦うことになりました」

「やっかいなドライバーですよ。ライバルとして戦ってきた時は、簡単には攻略できない相手でした。そんなドライバーと組めるというのは頼もしいですし、僕としても新しい環境でタイヤやマシンも含めてわからないことが多いので、そういうところを経験してきた中山選手に聞けるというのはいい環境ですよね」と小林。

「テストは3月の合同テストからになります。GT500とかだと2月の初めからガンガン毎週のように走って開幕を迎えるんですけど、GT300なので走りこめる時間が少ないので、ちょっと不安はあります。できるだけ早いうちにしっかりタイヤに慣れて、開幕は完璧な状態で優勝をいきなり狙っていけるように、自分のパフォーマンスをあげていきたいと思います」と意気込みを語った。

 同期でライバルのふたりがどんな化学反応を起こすのかTEAM UP GARAGEの活躍に注目したい。

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