大磯に想い伝えるパワースポット 鴫立庵に恋文ポスト 大磯町・二宮町・中井町

恋文ポストと考案者の篠崎さん

 大磯町の鴫立庵(大磯1289)の門扉脇に、このほど「恋文ポスト」が設置された。曽我物語に登場するヒロインの一人、虎女に縁のある同庵だけに恋愛成就の新しいパワースポットとして注目を集めそうだ。

 虎女は曽我物語に登場する曽我兄弟の兄、十郎を一途に想い続けたという人物。鴫立庵の敷地内には、有髪僧体の虎御前(=虎女)19歳の姿を写した木像を安置した法虎堂がある。この木像と堂は江戸時代前期、初代庵主の大淀三千風の頃に江戸新吉原から寄進されたものと伝えられている。

虎女の一途さに着想

 恋文ポストを考案したのは、同庵の指定管理者を務める日本環境マネジメント(株)の篠崎ゆかりさん(24)。「愛する人を一途に想い続けた虎女にあやかり、縁結びのスポットにできれば」と2016年から企画を温めていた。来場者の年齢層やニーズの把握などの下準備に1年をかけ、17年春から本格始動。「ただポストを設置するだけでなく、大磯らしい、来庵の記念になるようなものを用意したい」と、大磯在住の新大津絵画家、河口邦山さんにデザインを依頼したオリジナルはがきも製作した。

 恋文ポストは高さ46cm、幅21cm、胴回り65cmの円筒形。信楽焼で「鴫立庵の雰囲気に合うものを選んだ」(篠崎さん)という。投入口の上には仲睦まじい2羽のフクロウがあしらわれている。ポストには通常のはがきや封筒も投函可能だが、郵便料金分の切手貼付が必要。同庵の職員が郵便局に運び、鴫立庵の風景印が押されて宛先に届く。

 同庵の湯川悟施設長は「手紙に愛があれば、恋文でなくても大丈夫。身近な人に、面と向かって言えない日頃の感謝を伝える手紙などを出すきっかけになれば。幅広い世代に利用してもらいたい」と話し、今後はより利用しやすい設置場所やオリジナル封筒の製作なども検討するという。

 同庵は今年1月に初の婚活イベントを成功させるなど「恋愛パワースポット」としての新たな一面を見せている。問い合わせは【電話】0463・61・6926へ。

© 株式会社タウンニュース社