宇部興産は23日、主に電線被覆の材料として使用される低密度ポリエチレン製品について品質検査に関する不適切行為があったと発表した。生産拠点の千葉石油化学工場で、顧客との契約に基づく製品検査の一部を実施していなかった。23日都内で会見した山本謙社長は「過去すべての出荷分について品質上の問題はないと認識している」と話している。
対象製品は丸善石油化学との折半合弁である宇部丸善ポリエチレンが過去に販売した製品の一部。主に押出被覆用途で販売されたもので、電力ケーブルや通信用ケーブル向けで33企業グループ・50社に出荷されている。
不適切行為は2017年11月から宇部興産グループの全製品で品質調査を行っていた中で判明。12月20日以降は顧客との契約に基づく検査を実施した製品を出荷している。
年末には対策本部を設置し、製品品質に関する確認作業や顧客への説明を進めてきた。同社では現時点までに引張強度や伸び特性、電気特性などについて問題がないと認識している。2月21日に外部の弁護士や社外取締役による調査委員会を設置。今後原因の究明などを進める。