懐かしの味をバージョンアップ ボンカレー50、3月5日発売

 思えば、食品におけるまさに革命だった。3分間、熱湯で温めるだけでカレーが食べられるとは。大塚食品の「ボンカレー」が登場したのは今から50年前のことだった。

 50周年を記念して同社は、元祖ボンカレーの特長を生かしつつもバージョンアップした新製品「ボンカレー50」を3月5日から全国で発売する。発売から一足先に見本製品を試食することができた。

 元祖ボンカレーは、あめ色になるまで火を通した玉ネギのこくと、炒めた小麦粉の香ばしさがポイント。新製品はその味わいをそのままに肉や野菜をボリュームアップした。

3月5日発売の「ボンカレー50」

 

 パッケージは元祖を踏襲した「ボンカレー50」だが、元祖と違い電子レンジでの調理が基本。レンジに入れて待つこと1分40秒。熱々のカレールーの出来上がりだ。

 封を切り、おもむろにご飯にかける。大きめに切られた色鮮やかなニンジンや、ジャガ芋がごろごろ。一口ほおばると、ああ懐かしい。独特の粉っぽい舌触りに感動する。

 味は甘からず、辛からず。子どもも大人も食べられる万人向け、最大公約数的な味わいだ。飽きずに食べられ、一種、中毒になりそうだ。

 累計30億食を売り上げ、国民食の座を確固のものとしたボンカレーだが、発売当初は「価格が高い」とか、「長持ちするのは保存料が入っているからでは」といった誤解もあり、大塚食品は普及にとても苦労した。そこで編み出された営業戦略が、今やレトロ的価値があるほうろう看板だ。

 パッケージでパックを持ち、にっこりとほほ笑んでいるのは女優の松山容子さん。宣伝用に松山さんの看板を作製。営業マンがライトバンや自転車に積み込んで小売店を各戸撃破。1日15枚のノルマで営業が成功した店に張り巡らせていった。

 取り付けられた看板は総数9万5000枚。こうした努力で発売5年後に、年間売り上げ1億食を達成した。

 「ボンカレーゴールド」などリニューアルが行われたが、元祖ボンカレーは03年からは沖縄県でだけ販売が続いている。大塚食品沖縄営業所は、硬めに炊く沖縄のご飯と元祖のとろみの相性がいいこと、人でも物でも長く付き合う県民性が売れる要因と分析する。

 沖縄では他社製品を含めレトルトカレー一般を「ボンカレー」と呼ぶほど浸透。沖縄土産にボンカレーを選ぶのも盛んだ。元祖と新製品を食べ比べてみるのも一興だろう。

© 一般社団法人共同通信社