谷崎「悪魔」を現代劇に 心の闇を描く

 横浜市出身の俳優・前田公輝(26)が24日、東京・テアトル新宿で映画「悪魔」(藤井道人監督)の舞台あいさつを行った。妄執男・鈴木を演じた前田は「何があったんだろう? と不思議に思ってしまうほど様子がおかしい人物」と役について分析。その狂気について「照ちゃん(大野いと)を愛するがゆえのピュアな感情。だから僕は撮影現場では、大野さんの王子様であろうと清らかな気持ちで過ごしていました」と役作りについて話していた。

 「悪魔」は谷崎潤一郎の小説を現代劇にアレンジし映画化するプロジェクト「TANIZAKI TRIBUTE」の第3弾で、魅力的な女子高生・照子に心を奪われた鈴木と、新たな下宿人・佐伯(吉村界人)が、ほんろうされていく様子が描かれている。

 心に闇を持つ大学生を演じた主演の吉村は「佐伯という人間は僕の心の中に元々いる。登場人物全員が心の弱き者。精神的、社会的にそういった立場の人々を演じられるのは役者として本望。今後もそうでありたい」と思いを込めた。

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