マクラーレンF1『MCL33』は2017年の教訓を生かし開発。「スッキリと見えることを重視」

 マクラーレンのテクニカルディレクターを務めるティム・ゴスによると、MCL33のデザインは、シーズンを通じて継続的な改善が進められるように配慮したものだという。 

 マクラーレンはMLC33を、2017年の厳しい戦いの中で学んだあらゆる教訓を生かして開発し、リファインされた『昨年のマシンの論理的発展型』と形容している。

「昨年のクルマでは、その時点で分かっていたことに基づいて、基本構成に関するいくつかの決定をしなければならなかった」とゴスは語る。

「コース上での学習を繰り返した1年を経て、私たちはより深まった理解を用い、クルマの基本構成の一部を調整した。つまり、1年の始まりの時点でシャシーに織り込んでおかねばならないあらゆることを、修正できたということだ」

「私たちが昨年歩んだ道の続きを進んでいることは間違いない。実際、新車発表の時点ではこのクルマは正常進化型に見えるだろう。私たちはテストとレースシーズンを通じて、このMLC33の改良を進めていくつもりだ」

 また、このクルマが全体としてよりスッキリと見え、よりシンプルで、かつエレガントであることが重要だったと、ゴスは述べた。

「スッキリと見えるようにするというのは、私たちが毎年重視している部分だ。しかし、今年は単に整然としたパッケージングソリューションとするだけでは満足しなかった。エアロダイナミシストたちに、今後もボディワークに手を加えていく余地を与えるためだ」

 彼らはホンダからルノーへという、パワーユニットの変更に対処しなければならなかった。エンジンパートナーを変えるという判断は、かなり遅い時期になってから行われ、新車の開発にも少なからぬ影響を及ぼすことになった。

「パワーユニットの変更というのは大変なことだ」と、ゴスは認める。

「エンジン前後のマウントは、どのマニュファクチャラーも同じでなければならないとレギュレーションに書いてあるが、それでも決して楽な仕事ではない」

「エンジンのレイアウト、基本的な構成が、以前のものとは大きく異なっている」

「ルノーのレイアウトには、エンジン本体を前寄りにできるというアドバンテージがある。ただ、その代わりに、エンジン後部にはターボのコンプレッサーがあって、アウトレットパイプを前方に取り出さなければならないが、それがパッケージングに悪影響を及ぼさないように注意を払った」

「シャシーの後端、ギヤボックスのベルハウジング周辺、リヤサスペンション、冷却系のレイアウトは新たに設計し直す必要があった。その仕事をやり遂げるために、かなりハードな2週間を過すことになった」

「だが、それはある程度まで覚悟していた。エンジンが変わる可能性は予想できたからだ」

「いよいよ切羽詰まってきて、とにかく任務を遂行しなければならないとなった時、みんながこれほどの短時間でやるべきことをやり遂げたのには驚くほかなかった」

「そうした努力の結果として、本当にきれいに整ったパッケージングソリューションが完成した。特にギヤボックスとリヤサスペンションの担当設計者たちは、与えられた時間内で全てを設計し直すという、信じられない仕事をしてくれた」

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