金属行人(2月28日付)

 「思ったほどでは…」と関西地区の鉄鋼流通関係者は引き合いの鈍さを異口同音に嘆く。「悪い」わけではないが、「関西弁で〝ぼちぼち〟がしっくりくる」という。「東京五輪など関東圏は沸いているのだろうが…」とも聞く。目玉イベントがなく、気持ちが落ち込んでいるのかもしれない。大阪万博が決まれば、明るさは戻ってくると期待したい▼さて今年度も残り1カ月余りとなり、新年度計画が作成される最中にある。すでに立案した企業もあるだろうが、東京五輪後の需要減を見越し、やや慎重な見方が目立つ。確かに土地価格の上昇に伴い、国内の新規投資は非効率になりつつある。ただ、これでは土地を取得する必要があるような老朽工場の更新といった投資はできなくなる▼日本企業の収益性の低さはしばしば問題視されるが、「日本人がとんでもなく商売が下手」というのはあまり合理的な結論とは思えない。ある識者によると、欧米など海外企業はハイリターンを求めがちで、日本はローリスク・ローリターンの堅実経営が多いためという▼投資効率だけ考えると、事業の継続は難しい。短期の結果を求めがちな昨今。「堅実を旨として」もっと長いスパンで考えることも必要なのではないだろうか。

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