【MLB】元Gマイコラス、米復帰は「最も重要な選択」 日本での成功を「再現できる」

今季からカージナルスに所属するマイルズ・マイコラス【写真:Getty Images】

元巨人右腕が胸に抱く思い「多くの人が間違っていると、証明したい」

 巨人からカージナルスに移籍したマイルズ・マイコラス投手は、新天地でオープン戦デビューを飾った25日(日本時間26日)のアストロズ戦で2回途中7安打6失点と炎上し、初黒星を喫した。それでも、“逆輸入”選手への期待は大きい。地元紙が特集記事を組んでおり、巨人からカージナルスに移籍するという決断を「野球人生における最も重要な選択だった」と振り返っている。 

 カージナルス“デビュー”を飾ったマイコラスは、初回に若手有望株のタッカーに3ランを浴びるなど、いきなり4失点。2回にもスプリンガーに適時二塁打を浴びるなど2点を失い、この回途中でマウンドを降りた。それでも、本人は地元メディアに対して「次の登板までの課題が見つかった」などと前向きに話しており、ここから状態を上げていくことになる。 

 巨人での3年間で通算62試合登板、31勝13敗、防御率2.18の好成績を残し、名門カージナルスと契約した右腕。先発ローテーションの一角として、米球界復帰1年目からのフル稼働が期待されており、地元紙「セントルイス・ポスト・ディパッチ」は「人生の始まりの地に戻り、新たなカージナルとなったマイコラスには追い求めるスターダムがまだ残っている」とのタイトルで特集を組んだ。 

 記事では、マイコラスがカージナルスのキャンプ地であるフロリダ州ジュピター出身であることを紹介。「海外での3年間での奪三振率と成功に感銘を受けた」カージナルスが、カブスなどとの争奪戦を制し、2年総額1550万ドル(約16億5000万円)で契約したことを振り返っている。 

「カージナルスは20年間、スプリング・トレーニングの季節をここジュピターで過ごしている。マイコラスは少年時代にゲームを見に行っていたのだ。そして、彼はホームグラウンドでのメジャーリーグ復帰、という考えにワクワクしていたのだ」 

 キャンプ地がジュピターであるということが、カージナルスを選ぶ理由の1つになったようだ。その上で、マイコラスの「多くの人が間違っていると、証明したいんだ。向こう(日本)で成功を収めてから戻ってきて、あっという間に有益な形でそれを再現できる、とね」というコメントを紹介している。 

巨人への移籍は「十分に情報を集めた上での決断」

 来日前には、パドレス、レンジャーズで37試合登板(10先発)、4勝6敗、防御率5.32という実績しかなかった右腕。2014年オフに巨人行きを決断したことで、運命は大きく変わった。 

 記事の中でマイコラスは「浮き沈みが激しい選手だったよ。安定とほんの少しの給料アップを求めていたんだ。貯金をして、家族と生活し始めていたんだ。身の回りのことをいくつか整理できれば、長い目で見ても大丈夫だろうと思っていたんだ。最悪のシナリオとしては、1年間向こう(日本)に行って、良いお金を貰って、こっちに復帰した時に以前と同じ立ち位置となっていたらってことだったね」と振り返っている。 

 日本行きは“ステップアップ”でなければ意味がないというのだ。実際、1年目の2015年に活躍したところで米球界に戻るという選択肢もあったが、マイコラスは2年契約で巨人に残留し、結果を残し続けた。 

 そして、高い評価を得てカージナルスに移籍。同紙は「ジャーニーマンは、引っ張りだこのFAとなった」と紹介した上で、右腕が「野球人生における最も重要な選択だった。だから、十分に情報を集めた上での決断をしたんだ。このスポーツにおいて、シーズンの長さやそれにかかる人生の時間を踏まえた上で、自分自身と家族がほんの少しでも心地よく過ごしていけるなら、プレー自体もしやすくなるのかもしれないね。インチ程度の些細なことかもしれないけど、こういったインチ程度のものが積もりに積もって、大きな影響へとなっていくんだ。そうやって、自分は故郷を誇りに思わせてくれるんだ」と話したことも伝えている。 

 日本であらゆることを学び、レベルアップして、メジャーに返り咲く――。もっとも、3年前の決断がプラスとなったのは、日本の文化を受け入れ、日本の野球を尊重し、努力を重ねて結果を残した本人の姿勢があったからこそだろう。 

“メジャー再挑戦“を果たす右腕の成功をカージナルスファン、そして日本のファンが願っている。 

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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