観光誘客に秘術あり? 「風魔忍者」でPR 小田原市

修行体験に参加した子ども

 小田原城址公園で2月17日、子どもたちと外国人が剣術や乗馬など「忍者修行」を体験した。観光コンテンツとして「風魔忍者」をPRしている小田原市観光協会(石田武会長)の新たな取り組みのひとつだ。

 同協会は2012年9月、伊賀上野と甲賀市の観光協会との「忍者の里共同宣言」から、小田原ゆかりの風魔忍者にちなんだ観光事業を行っている。

 修業体験は、2月22日の「忍者の日」に合わせて展開中のキャンペーンのひとつ。5歳以上の子どもと、市外在住の外国人を募ったところ予定を上回る45人の申し込みがあった。

 指導したのは風魔一党 指南役の甚川浩志さん(野人流忍術主宰)。剣術では「刀を鞘に納める時は、相手に隙を与えないよう手元を見ない」「本当は刀を抜かないうちに解決できるのが優秀な忍者」といった説明に参加者は興味津々。真剣な表情で刀を振っていた市内城山の山田久史君(6)は「馬に乗ったのが楽しかった」と体験終了後も興奮気味だった。

 午後には、風魔忍者が馬術に長けていたという伝承から、忍者が馬に乗り二の丸広場から本丸広場へ上がる実験も。偶然居合わせた観光客は「かっこいい!」と歓声を上げ記念撮影をしていた。

課題は「風魔=小田原」の認知度

 子どもや外国人の関心も高い「忍者」は、市観光協会としてもインバウンドを含めた誘客に有効に活用したいところだ。

 現在の”忍者界”では「伊賀」「甲賀」が双璧だが、風魔も人気アニメやゲームに登場するなど一定の知名度はある。観光協会担当者が課題に挙げるのが、一般の認識が「風魔=小田原」となっていないこと。風魔忍者は早雲から5代、約100年にわたり関八州を治めた北条氏に仕えた一党だが「まだ地元で知らない方も多くて」と苦笑い。忍者屋敷などの常設施設が無いことも、小田原を訪れた人が忍者を感じにくい要因だという。

 今年6回目を迎える「風魔まつり」や、1日300人以上が楽む城址公園本丸広場の「忍者衣装着付け体験」「手裏剣打ち体験」(土・日・祝実施)に加え、新規事業を含めソフトの充実を図りたい考えだ。2020年を控え海外メディアの取材も増えつつある。「いつか風魔忍者を目的に小田原に来てくれるようになれば」。風魔一党の”暗躍”ならぬスポットライトを浴びての大活躍が期待される。

記念撮影に応じる忍者

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