「ピンクシャツデー」でいじめ撲滅

 ピンクのシャツを着て、いじめに反対の意思を示すイベント「ピンクシャツデー2018 in 神奈川」が28日、横浜駅東口の新都市プラザ(横浜市西区)で開かれた。色鮮やかなシャツが道行く人たちの目を引き、音楽や朗読を通じて、いじめのない社会の実現を訴えた。

 ピンクシャツデーは約10年前、カナダの高校でピンクのシャツを着ていた少年がいじめの対象になったことがきっかけ。それを聞いた上級生2人がピンクのシャツを50枚以上集めて、「明日はみんなでこのシャツを着て学校に行こう」と提案。賛同した生徒らがピンクのシャツや小物を身に着けて登校し、いじめは自然となくなった。このエピソードが世界中に広まり、70カ国以上でいじめ反対の活動が行われている。

 この日のイベントでは、いじめが原因で自死した子どもたちの遺書が朗読された。10年に14歳で自ら命を絶った当時男子中学生の篠原真矢さんは「大丈夫。ある日は日の光となり、ある時は雨となって、あなた達(たち)の心の中で生きています。だから哀(かな)しまずに、俺の死を糧として、全力で生きていって下さい」と家族に遺した。真矢さんの父親で一般社団法人「ここから未来」理事の宏明さんは「子どもたちの最期のメッセージであれば、足を止めて聞いてくれるだろうと思って企画した。自分の子どもが人を傷つけていないか考えるきっかけになってほしい」と話した。

 いじめ問題も取り上げた児童書「ハッピーバースデー」のミニ朗読劇のほか、アコースティックデュオ「N.U.」のライブも行われ、今回のために作曲したテーマソングが披露されると会場は盛り上がった。

 夜には、横浜・みなとみらい21(MM21)地区の大観覧車などがピンクにライトアップ。各地でイベントが開催されているが、神奈川でのイベントの事務局、野北康子さんは「NPOだけでなく、行政や企業も一緒に実施するのは全国的にも珍しい」とし、「色だけで『私はあなたの味方だ』とさりげなく意思表示できるのがいい」といじめ撲滅をアピールした。

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