【きらりと光るわが社の〝得意技〟】〈協和テクノロジィズ〉十河代表取締役兼CEО/鉛蓄電池再生「リボーンバッテリー」 環境にやさしく、費用低減に効果大

 協和テクノロジィズ(本社・大阪市北区、代表取締役兼CEО・十河元太郎氏)は、情報通信設備など社会インフラの設計・構築・保守を主な事業としている。

 創立は1948年で、南満州鉄道(満鉄)の技術者7名が大阪で協和電気興業(創業者は十河元太郎氏の祖父、十河元氏)を興した。草創期の主な業務は、国鉄(JR)の通信設備の構築だったという。必要とされる社会インフラを、自前の技術で作り提供することが強みだ。

 同社は88年に現社名に変更、社員は462名。拠点は大阪・東京両本社のほかに、江坂事業場(大阪府)など10カ所。グループ会社では日本テクトスなど5社。2017年9月期売上高は182億円で、AI・IоT化といった追い風もあり、この数年の業績は好調だ。

 同社事業は「社会インフラ」など5本柱で構成される。売上高に対する構成比率は「社会インフラ」(消防通信指令・防災行政無線など)が5割強、「ネットワーク」(IPテレフォニー・LAN構築など)が15%、「統合ソリューション」(ビル管理など)が15%、「ソフトウェア」(アプリ・基幹システム開発など)が10%、「環境・エコ」が1%。

 独自技術で注力しているのが、「リボーンバッテリー(鉛蓄電池再生)」事業だ。鉛蓄電池は充放電により、負極に硫酸鉛の結晶が付着する現象(サルフェーション)が生じる。サルフェーションは劣化の約70%の原因とされ、充放電特性を著しく妨げる。

 「高周波パルスを当てることでサルフェ―ションを除去する再生処理装置(特許第4427089号)は自社で開発。リボーンバッテリー事業を05年から始めた。同事業は拠点を江坂事業場・第2別館(大阪府吹田市)に置き、スタッフが8名、年商約3千万円。環境にやさしく、新品購入に比べて費用は約4割となるため、需要家の評価は高い」(小田武志インフラ建設事業部長)。

 リボーンバッテリーは産業廃棄物ゼロにでき、CO2排出量を新品製造の約300分の1に抑制できることなどが利点。再生に要する時間は容量や数量にもよるが半日から3日ほどだ。15年9月には大阪府立環境農林水産総合研究所から、資源の有効利用に配慮した技術・製品として、「おおさかエコテックゴールド」表彰も受けた。

 「需要家は病院、大学、メーカー、鉄道、新聞社など百数十社。環境への配慮から、自治体での導入事例もある。費用は新品購入時の4割程度とコストパフォーマンスが良い。業界で法人対象のところは当社のほかにも数社あるが、保守と1年保証まで対応している点では唯一。利点をPRし、拡販に努めたい」(同)。(白木 毅俊)

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