【〝雑品スクラップ〟規制強化へ】〈(下)中国の資源物輸入規制〉18年末で雑品輸入禁止も 日本の発生品、行き場失う恐れ

 2017年7月、中国当局はプラスチック類や紙くず、バナジウムを含んだ残さなどの固体廃棄物4類24種類に対し、17年末までに輸入を禁止するとWTO(世界保健機関)に通知した。すでに同年春頃から汚れの多いミックス古紙や廃プラスチックなどの輸入規制が進められていたが、リサイクル原料を可能な限り国内再生資源に切り替えていくとの意向を明確に示した形。

 同月下旬、中国の非鉄金属産業業界団体である中国有色金属工業協会は、18年末をもって(1)雑品(2)黒モーター(3)廃電線の輸入を禁止すると発表。これら3品目は同国の基準上「第7類」に分類される低品位な銅スクラップとされる。

 関係筋によると、中国沿岸部のスクラップ解体工場では一斉に政府の立入検査が入り、大半の末端業者が事業停止処分を受けたという。

中国輸入業者の動向

 同年12月に入り、中国環境保護省はさらに厳格な輸入制限実施を行う旨の声明を出した。銅スクラップを自前で加工可能なプラント設備を有し、輸入前に汚染物質排出の許可を取得した事業者だけが輸入を許可されるとの内容。中間業者や過去2年間で環境法に違反した事業者は排除された。今後、銅スクラップの輸入量が大幅に減少すると予想される。

 在中国のバイヤーが輸入を行う際、当局からの環境条件をクリアして輸入ライセンスを取得する必要がある。毎年1回、12月末に更改し、1月から新しいライセンスを取得するが、各スクラップの種類別に年間輸入枠が設けられている。一方、日本側からの輸出ライセンスに関しては、昨年末で更改が止まったままのケース、昨年の間に返上していたため今年初めから新たに付与されたケース、今後3カ月ごとに追加交渉していくケースなどまちまち。関係筋の調べによると、今年の輸入ライセンスの総重量枠は中国全土で昨年比6割減の350万トンに減らされ、19年からは完全停止となる見通し。

 同国の輸入業者が多数集まる台州(浙江省)でも、今年は同比2割減の200万トンまで減らされているとされ、中国現地でも大きな逆風となっているもようだ。過去10年ほどの間に当局の指示により台州の工業団地内に敷地を購入した業者らが、行政に対して異議申し立てを行うといった動きも見られる。

日本国内への影響

 日本国内のリサイクル業界への影響については、予断を許さない状況が続くとみられる。プラスチック類は有価物としての流通が困難となり、非鉄金属原料問屋でも昨夏頃から「雑電線」「室内外機」、「工業機械部品や照明部品などの雑品くず」などについては無償、もしくは極めて安価で回収対応を行うケースが増えている。

 歩留まりが低く、解体困難なために中国に流れ込んでいた雑品スクラップが行き場を失えば、不法投棄などが増大すると懸念する声も寄せられる。国内で解体・選別し「込み銅」「ミックスメタル」などの第6類(銅スクラップ)に分類されれば今後も中国への輸出は可能だが、そもそもそれらの解体選別作業には膨大な時間を要する。

 向け先を東南アジアにシフトする動きも一部で始まっているものの、数量は限定的。混入する樹脂を処分する場所もなく、現時点で受け皿は確定していない。

 また、鉄鋼・非鉄金属業界においてシュレッダー設備などを導入する業者の増加も予想されるが、中国が原料不足を背景に再び受け入れ基準を緩和し、輸入を再開する可能性も捨て切れないのが懸念材料だ。

 国内のリサイクラーにとっては、改正廃棄物処理法が今年4月1日、改正バーゼル法が10月1日から施行され、国内の規制対象物が明確になる中、中国の動向、市況を注視しながらの対応が求められる。(佐藤 創太)

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