駒井ハルテック、風力発電含むエネ供給システムをロシア極東で実証事業

 駒井ハルテックは三井物産などと共同で極東のロシア・サハ共和国で風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業を開始した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受け、北極圏の寒冷地で風力発電やディーゼル発電機を含んだ系統安定化システムを構築し、安定的なエネルギー供給を目指す。2月27日にモスクワでNEDOとサハ、ロシアの電力会社ルスギドロ社の代表者が協力覚書に署名。また委託先の駒井ハルテックと三井物産、東光高岳の3社とサハの電力会社サハエネルゴ社が協定付属書を締結。実証期間は2021年2月までの約3年間。

 NEDOによると、ロシア極東にある独立系統地域の多くは大規模な電力系統と接続していない。電力供給を小規模なディーゼル発電機に依存するため、燃料の輸送コストにより発電単価が極めて高いという。安定供給のため地方政府は大きな財政負担を強いられるだけでなく、発電機の老朽化も課題だ。

 実証事業は、サハ内にある独立系統地域のティクシ市で初めて実施。既存の発電設備に、風力発電機とディーゼル発電機、蓄電池によるエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた「ポーラーマイクログリッドシステム」を構築し、極寒冷地で低コストかつ安定的なエネルギー供給技術の確立を図る。

 具体的には、ディーゼル発電機と蓄電池による再生エネルギー協調システムと、極寒冷地仕様の風力発電機を現地に導入。実証では風力・ディーゼル発電機を効率的に運用することで年間約16%の燃料のたき減らしが可能になることを見込む。

© 株式会社鉄鋼新聞社