マクラーレンF1に3つのトラブル。300円のパーツの破損でテストプランに大幅な遅れ

 マクラーレンが明らかにしたところによると、バルセロナ・テスト2日目にMCL33に起きた排気系の熱によるトラブルの原因は、たった2ポンド(約300円)で買える1本のボルトだったという。

 その日の午前中、ストフェル・バンドーンはカタルニア・サーキットで充実した時間を過ごし、ハイパーソフトタイヤを使って、その時点での最速タイムも叩き出していた。
 ところが、彼がマシンをピットレーンに戻した時、ボディワークの一部に熱による損傷が見つかった。

「残念なことに、エキゾーストのクリップにちょっとした問題が起きた」と、バンドーンはその日に語っている。そして、問題のクリップが壊れた結果、ブレーキをコントロールする配線の含まれたハーネスが、高温の排気であぶられることになったのだ。配線ハーネスの交換を伴う修復作業にはかなりの時間を要し、チームは午後の走行時間の大半を失うことになった。

「エキゾーストまわりで、ごく普通の1本のボルトが壊れた」と、その2日後の木曜日に、マクラーレンのスポーティングディレクター、エリック・ブーリエは述べた。「たった2ポンドのパーツの破損で、貴重な走行時間をふいにする結果になった」

「車体後部のあらゆる部分が高温に曝されたために、ギヤボックスからリヤエンド全体をリビルドしなければならなかった」

 ただ、このトラブルの原因が、設計の見直しを迫るような深刻なものではなかったことに、ブーリエはひとまず安心したという。

「問題の解決は簡単だった。痛かったのはクルマを走らせる時間を失ったことの方だ。ご存じのように、単純に部品を交換しただけで、その後は何の問題もなく走っている」

 マクラーレンは今回のテスト初日の段階で、早くもトラブルに見舞われていた。ホイールナットの破損により右リヤホイールが脱落し、フェルナンド・アロンソの乗ったマシンがグラベルに放り込まれたのだ。

 また、木曜日にはクルマの遮熱板に穴が開いて、またもや修理が必要になった。しかし、幸いにもこの時の熱による損傷は、ボディワークだけの問題にとどまり、すぐに走行を再開することができた。

「最初のプレシーズンテストでは、どのチームでも冷却が第一の課題になる」と、ブーリエは言う。

「遮熱板の配置を最適化する必要がある。全ての熱源や熱溜まりの見直しをして、ボディワーク内部の冷却を改善するつもりだ」

 こうしてトラブルへの対応を終えた後、マクラーレンはテスト最終日を主に空力データの収集にあてた。

 悪天候のため、テスト3日目の実質的な走行時間が大きく削られたことについて、ブーリエは「当然のことながら、プログラムを調整し、ある程度まで圧縮する必要があった」と、チームにとってテスト計画のさらなる遅れにつながったことを認めている。

「テストは学習のプロセスであり、現状で学べることを、できるだけ多く学ぶように努めるしかない」

 テスト第2週において、マクラーレンはロングランに重点を置くことになるだろう。2018年シーズンの開幕戦は、あとわずか3週間後に迫っている。

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