芸術はロックンロールだ TARO賞の展示会始まる

 現代社会に鋭いメッセージを発する作家を顕彰する第21回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)の入選者26組が決まり、川崎市岡本太郎美術館(同市多摩区枡形)で作品の展示会が行われている。今回は、最優秀の岡本太郎賞に「さいあくななちゃん」(作家名、県内在住の25歳女性)の作品「芸術はロックンロールだ」が選ばれた。

 空間メディアプロデューサー平野暁臣さんら5人の審査員が応募作品計558点を審査、全員一致で太郎賞を選出。岡本敏子賞には弓指寛治さん(31)=三重県伊勢市在住=の「O(オー)の慰霊」が決まった。

 太郎賞の作品は、少女漫画に登場するような女の子の顔と、「クソッ」「死ね」などと書かれた大量の絵が壁面に並ぶ。美術評論家で多摩美術大学教授の椹木(さわらぎ)野衣さんは「自身の絵を最悪と言われ、傷ついた負の力を引き受け、パワーを発揮した」と評価した。

 敏子賞に選ばれた弓指さんの作品は、女性アイドル「O」の自殺による社会現象をテーマに、自殺者の霊を象徴する2万羽以上の鳥などを描き、「えたいの知れない緊張感に引きずり込む」と評価された。

 空き缶で鋳造された釣り鐘、「お化け屋敷」のような空間の作品もあり、同館は「作家の問題意識が伝わってくる」と来場を呼び掛けている。

 展示は4月15日まで。会期中は毎週月曜、3月22、23日休館。午前9時半〜午後5時(最終入館同4時半)。入館料(一般700円ほか)が必要。3月4日、同18日、4月1日、同15日のいずれも午後1時から、入選作家によるギャラリートークが行われる。来場者に作家や作品へのメッセージを書いてもらう企画もある。問い合わせは、同館電話044(900)9898。

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