匠の技で木橋が復活 小田原城

 老朽化に伴い、架け替え工事が進められていた小田原城址公園(同市城内)内の木橋「住吉橋」が完成した。国選定の伝統技術を持つ地元の職人が中心となり、腕を振るった。正規登城ルートが約10カ月ぶりに“開通”する。

 馬出門から銅門、常盤木門を通る正規登城ルート上にある住吉橋は、長さ8・6メートル、幅3・6メートル。市制50周年の記念事業として、市が発掘調査の結果や絵図などを基に江戸時代にあったとされる住吉橋を復元し、1990年3月に完成させた。

 ただ、長年にわたって風雨を受けるなどして劣化が進行。往来する観光客らの安全を考慮し、市は昨年5月から通行止めにして工事をしてきた。

 完成した住吉橋は、地元の職人らが国選定の保存技術「建造物木工」を駆使し、アーチ状に反るなど特徴的な形状の木橋に仕上げた。設計・監理で生かした「建造物修理」とともに、二つの技術は国がユネスコに対して無形文化遺産に記載するよう提案する「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」に含まれている。

 こうした職人の技に加えて、長寿命化を図るために床板に傾斜を付けて水はけをよくし、防腐・防蟻処理も施したという。

 市観光協会は開通を記念し、4日から3月中の土・日曜、祝日に、小田原城址公園内7カ所を巡るスタンプラリーイベント(午前10時〜午後3時半)などを開く。同協会は「住吉橋をきっかけに、小田原の魅力を知り、リピーターになってもらえれば」と期待している。

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