天皇が行幸の観梅名所 復活へ

 明治天皇が行幸し、地名の由来にもなった名所「小向梅林」を復活させようと植樹が進む川崎市幸区東古市場の御幸公園で4日、梅の植樹式と観梅会が行われた。同区と市民でつくる同公園梅香(うめかおる)事業推進会議の主催。白加賀など20種を超す同公園の梅108本が見頃を迎える中、観梅の名所となるよう参加者らは決意を新たにしていた。

 同公園(約3万平方メートル)周辺は、江戸時代から梅干し用の梅林が広がり、明治期には観梅の名所として知られるようになった。その評判から明治天皇が1884年に行幸(御(み)幸(ゆき))。後に御幸村や幸区の地名の由来となり、公園には記念碑が建てられたが、梅作りが衰退し、公園に高さ約4〜5メートルの白加賀梅などの古木が50本ほどあるだけだった。

 区は2024年の川崎市制100周年に向け、歴史ある貴重な地域資源を生かそうと15年度から梅林整備を開始。17年度からは、公園全体で梅の木180本となるよう、苗木購入のため、区民に寄付の協力を呼び掛けるようになった。これまで29人・団体などから約180万円が集まり、約30本を植樹。4日は、初年度に寄付した人の名前などの銘板を飾る記念プレートも除幕し、日本梅の会の大坪孝之会長の解説による観梅会も行われた。

 寄付した一人で近所に住む薩本定亮さんはこの日が100歳の誕生日。「散歩に来て梅の花を見るのが楽しみで、きれいな梅林になってほしい」と話した。石渡伸幸区長は「梅林としてはまだまだだが、これから木が育ち植樹も進む。イベントなども行っていくので楽しみにしてほしい」とあいさつしていた。

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