五輪向け客船ホテル想定地 横浜や川崎の4港5カ所に

 2020年東京五輪・パラリンピックでの宿泊施設の不足に対応するため、政府は5日、大型クルーズ客船を長期に停泊させる「ホテルシップ」の想定地に、横浜、川崎、東京、千葉の4港5カ所を選んだ。政府は法解釈の整理や省令を改正するとともに、各自治体や船会社などに働き掛け、官民で取り組みを加速させる。◆ラグビーW杯も視野に 内閣官房や国土交通省、厚生労働省など9省庁や旅行代理店、クルーズ船会社などによる検討会議で、港湾を管理する4自治体の提案が了承された。各港はいずれも5万トン級以上のクルーズ客船が停泊した実績があり、ホテルシップ誘致を表明していた。

 選ばれたのは、▽横浜港の山下ふ頭(横浜市中区)▽同港の本牧ふ頭(同)▽川崎港の東扇島地区(川崎市川崎区)▽東京港の15号地木材ふ頭(東京都江東区)▽木更津港の南部地区(千葉県木更津市)−の5カ所。

 ホテルは旅館業法上の営業許可取得が義務付けられている。五輪やパラリンピックのような大規模イベントでは、窓がない客室でも営業許可が出せるよう厚労省は通達を出す方針。乗組員の長期の上陸許可を得られるように入管法を省令改正することも決まった。いずれも19年までに対応することで「ラグビーのワールドカップ(W杯)など、五輪やパラリンピックに限らずホテルシップを広く活用できるようにしたい」(内閣官房)と意気込む。

 横浜市は1964年の東京五輪や89年の横浜博覧会でホテルシップを受け入れた実績がある。羽田空港に近い川崎市はインバウンド(訪日外国人)誘客施策として有効と歓迎している。

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